看護師の転職で志望動機が思いつかない?経験者が考え方から教えます
転職しようと決めてから、一番最初に手が止まったのが志望動機でした。
履歴書を開いて、「志望動機」の欄を見た瞬間に、何も書けないと感じた方は多いのではないでしょうか。退職理由はあるけれど、それをそのまま書けるわけがない。前向きな理由?と言われても、特に思い当たらない。そんな状態から、どう志望動機を作ればいいか、正直わかりませんでした。
この記事では、実際に転職活動をした私の経験をもとに、志望動機の「考え方」をお伝えします。例文を10個並べるより、「自分の場合はどう考えるか」をつかんでもらいたいと思っています。
看護師の転職で志望動機が「思いつかない」のは普通のこと
「転職を考えているのに、前向きな志望動機なんて書けない」と感じる方は多いと思います。
退職理由がネガティブな場合はなおさらです。「人間関係が嫌」「職場がしんどい」「この環境から抜け出したい」——そういう理由で転職を考え始めた人が、志望動機の欄を前にして手が止まるのは、ある意味当然のことです。
思いつかないのは、前向きな気持ちが足りないのではありません。「本音の退職理由を書いてはいけない」という制約があるから、何を書けばいいかわからなくなっているんだと思います。
でも、「ネガティブな退職理由がある」と「前向きな志望動機が書けない」は、別の話です。同じ状況を、別の角度から言葉にする方法があります。その考え方を、自分の転職のときに実際にやったことをもとに、お伝えしていきます。
志望動機を作る前に整理すること
「なぜ今の職場を辞めるのか」を正直に書き出す
まず、志望動機を書く前に退職理由を整理します。
「誰かに見せるため」ではなく、「自分が納得するため」に正直に書き出してみてください。人間関係でも、給与でも、夜勤がしんどいでも、何でもかまいません。書き出すことで、自分が何に困っていたかが整理されます。
退職理由をそのまま志望動機に使うわけではありません。でも、退職理由を整理しないまま志望動機を考えようとすると、「一般論の上っ面だけ書いた志望動機」になりがちです。まず正直なところから始めるのが、結局は近道です。
関連記事:看護師の転職時期はいつがベスト?(転職を考え始めたタイミングの整理と並行して進めると、志望動機も作りやすくなります)
「次の職場で何をしたいか」を考える
退職理由が整理できたら、その「裏返し」を考えます。
「人間関係が辛かった」なら、「どういう環境なら働きやすいか」。「急性期がしんどかった」なら、「自分に合ったペースで関われる仕事をしたい」。「専門性を深めたかった」なら、「特定の領域に集中できる環境に行きたい」。
退職理由の裏側には、自分が何を大切にしたいかのヒントが隠れています。「前の職場で足りなかったもの」=「次の職場で求めるもの」に変換できると、志望動機の骨格になります。
退職理由と志望動機をつなげる考え方
ここで大事なのは、「完全な嘘を書く」でも「本音をそのまま書く」でもないということです。
同じ事実を、別の角度から言い直す。それが、ネガティブな退職理由をポジティブな志望動機に変換する基本的な考え方です。
「師長との関係が辛かった」→「チームワークを大切にできる環境を求めている」
「急性期のスピードについていけなかった」→「患者一人ひとりにじっくり向き合える看護をしたい」
「仕事量が多すぎた」→「ワークライフバランスを保ちながら長く働き続けたい」
事実は変わりません。でも、「何が嫌だったか」ではなく「何を大切にしたいか」という言葉に変えることで、志望動機として伝えられるものになります。
私が転職したとき、志望動機をどう考えたか
退職理由は師長との人間関係だった
私の退職理由は、師長との人間関係でした。
詳しく書くと話が長くなるので概要だけにしますが、長年同じ病棟に勤めていて、その環境で関係が難しくなっていった、というものです。
「人間関係で辞める」のは後ろめたく感じる方も多いと思います。私もそうでした。「自分に何か問題があるのかも」「こんな理由で辞めていいのか」という気持ちは、少なからずありました。でも、現実として人間関係は看護師の退職理由のトップを占めるほど多い理由です。自分だけの問題ではない、とは思っていました。
関連記事:看護師の退職で引き止められたら(退職を切り出す場面で迷っている方はこちらも参考に)
「人間関係が嫌で辞めました」とは書けない。じゃあどう書くか
転職活動で、退職理由(師長との人間関係)は、一切話しませんでした。
志望動機も、退職理由も、人間関係の話は出しませんでした。その判断の根拠はシンプルで、「人間関係の問題を伝えると、自分自身に問題があるようにとらえかねない」と考えていたからです。
では何を志望動機にしたかというと、「長年同じ病棟に勤め、退院支援について学びが足りていないと感じていた。退院支援ができる地域包括ケア病棟に移り、その分野を深めたい」という内容にしました。
これは完全な嘘ではありませんでした。急性期の病棟でずっと働いてきて、慢性期の仕事に関心が向いていたのは本当のことです。候補として地域包括ケア病棟を調べていたときに退院支援に興味が出てきたのも、事実です。人間関係を理由にしたくないという思いが先にあって、その後に「じゃあ本当に行きたい理由を探そう」と考えた、というのが正確な順序かもしれません。
退職理由を変換するというより、「本当の退職理由(人間関係)」とは別に、「正直に語れる志望動機(退院支援を学びたい)」を自分の経験の中から探した、という感じです。
転職サービスを使わなかったから、全部自分で考えるしかなかった
この転職では、転職エージェントや転職サイトは使いませんでした。
正直に言うと、転職サービスがどういうものか、よく理解していませんでした。「担当者からいろいろ勧められたり、強引に採用を進められるのではないか」というイメージがあって、あまり前向きに使おうとは思えませんでした。
結果として、志望動機も面接の準備も全部自分で考えることになりました。「これでいいのか」と確認できる人がいないまま進めていたので、不安がなかったとは言えません。ただ、自分で考えたことで、「なぜこの病院に行きたいか」を自分の言葉で話せるようにはなった、とは思います。
看護師はどこに行っても人手不足だから、願書を出せばすぐに採用は通ると思っていた、というのが正直なところです。実際に応募したのは、入職した病院の1件だけでした。
看護師の転職で使える志望動機の考え方3つ
ここからは、志望動機を考えるときに使いやすい3つの軸を紹介します。自分に合うものを選んで、自分の経験に当てはめてみてください。
「経験を活かしたい」軸 — これまでの経験から次を考える
「今まで〇〇を経験してきたから、次はそれを活かしたい」「〇〇を経験したからこそ、次は△△もやってみたい」という考え方です。
複数の科を経験してきた方なら、「これまでの経験を次の科でどう活かすか」を軸にできます。私自身も、急性期病棟での経験を土台として「次は地域包括ケアを学ぶ」という流れで志望動機を作りました。
「4科も経験してきたけど、何を活かせばいいかわからない」という方は、自分が得意だったこと、興味が湧いたこと、もう少し深めたかったことを書き出してみると、軸が見えやすいかもしれません。
「働き方を変えたい」軸 — 環境や条件を正直に伝える
「夜勤を減らしたい」「通勤時間を短くしたい」「日勤だけの職場に移りたい」など、働き方の条件を志望動機に含める方法です。
「条件だけ書くのは印象が悪いのでは」と心配する方もいますが、条件を正直に伝えることは悪いことではありません。「家庭の事情があり、夜勤対応が難しくなった」「長く働き続けるために、体への負担を調整したい」という理由は、ちゃんと伝わる志望動機になります。
条件だけで終わらないようにするなら、「なぜこの病院でその条件を求めているか」に一言触れると、応募先への関心が伝わりやすくなります。
「やりたい看護がある」軸 — 関心のある領域を言語化する
「この科で働いてみたい」「在宅分野に関わりたい」「精神科の看護を学びたい」など、関心のある領域を軸にする方法です。
「まだその領域での経験がないのに書いていいのか」と迷う方もいますが、経験がなくても「関心がある」「学びたい」という志向は志望動機になります。ただ、「なぜその領域に関心を持ったか」の背景を一緒に書けると、具体性が増します。なんとなく書いた志望動機より、「こういう経験があって、この分野に興味を持った」という流れがある方が、面接でも話しやすくなります。
志望動機を書くときに気をつけること
例文をそのまま使わない
「看護師 志望動機 例文」で検索すると、すぐに使えそうな文章が出てきます。でも、例文をそのままコピペして出すのはおすすめしません。
理由は、面接で深掘りされたときに詰まるからです。「退院支援に関心があると書いていましたが、具体的にどういう場面でそれを感じましたか?」と聞かれて、自分の言葉で答えられなければ、書類と面接でズレが生じます。
例文はあくまで「こういう書き方もあるか」という参考にとどめて、自分の経験に引き付けて書き直すのが基本です。関連記事:看護師が転職で失敗するパターン3つ(志望動機が曖昧だと入職後にミスマッチが起きやすい。失敗パターンの参考に)
退職理由の悪口にならないようにする
前の職場への批判が見え透いた志望動機は、印象がよくありません。
「前の病院はスタッフ同士の関係が悪くて、それが嫌で転職しました」は退職理由の説明ですが、面接の場では悪口に聞こえやすいです。「チームとして連携できる環境で働きたいと思うようになった」という言い方にすると、同じ事実を前向きに伝えられます。
「〜が嫌だった」ではなく「〜を大切にしたいと思うようになった」に言い換えるのが基本です。
応募先のことを調べてから書く
「御院の理念に深く共感して志望しました」だけでは弱いです。
どの病院の理念にも「患者中心」「地域医療への貢献」などの言葉が並んでいて、それだけでは「どこでもいいのかな」と受け取られてしまいます。
応募先が力を入れている分野、病棟の構成、ホームページに書いてある特徴などを調べて、「自分の経験と、この病院のこういう部分がつながっている」という接点を書けると、志望動機に具体性が出ます。
面接で志望動機を聞かれたとき、どう話したか
書類に書いた内容と、口頭で話した内容の違い
書類に書いた志望動機は、文字数に制限がある分、簡潔です。履歴書の欄に収まる量で、要点を絞って書きます。
面接では、書類に書いた内容をベースに、口頭ではもう少し具体的に話した記憶があります。ただ、詳細は正直あまり覚えていなくて、何をどう具体的に付け加えたかまでは言えません。
書類の内容を全部読み上げるのではなく、「書いた内容をもとに口頭で補う」という形になる、ということは言えます。
「退職理由は?」と聞かれたときの答え方
面接で退職理由を聞かれました。そのとき、志望動機と同じ内容で答えました。
「長年同じ病棟に勤めてきて、退院支援について学ぶ機会を得たかった。地域包括ケア病棟でその経験を積みたい」——書類に書いた志望動機と、ほぼ同じ流れです。
退職理由を聞かれたとき、志望動機と整合性が取れた答えを返すことが大事です。「書類では学びたいと書いているのに、面接では人間関係が嫌で辞めたと話す」というズレがあると、どちらかが本音かわからなくなります。
人間関係については、面接でも一切触れませんでした。「人間関係の問題を伝えると、自分自身に問題があるようにとらえかねない」という判断は最初から変えませんでした。
よくある質問
Q1: 志望動機に「本当の退職理由」をどこまで正直に書いていいの?
退職理由をそのまま志望動機に書く必要はありません。ただし、書類に書いた志望動機と、面接で退職理由を聞かれたときの答えが矛盾しないことは大事です。「嘘をつく」のではなく「同じ事実を前向きな角度から伝える」というのが基本的な考え方です。
私の場合は、人間関係の問題は書類でも面接でも一切触れませんでした。正直なところ、話すかどうか迷いはありました。ただ、「話して採用に向け自分が得になることはない」という判断で、最初から出さないと決めていました。「退院支援を学びたい」という志望動機が自分にとって本当に嘘ではなかったので、一貫して話せたのだと思います。
Q2: 志望動機が同じような内容になってしまう。複数の病院に応募するとき、書き分けるべき?
複数の病院に応募する場合、基本の軸は同じでも「なぜこの病院か」という部分は変える必要があります。病院の特徴・力を入れている領域・理念を調べて、自分の経験とどこが接続するかを応募先ごとに考えるのが基本です。
私の場合は、1件しか応募しませんでした。「看護師はどこいっても人手不足だから、願書を出せばすぐに採用は通ると思っていた」というのが正直なところで、書き分けの経験はありません。ただ、複数の選択肢を持つ方が精神的な余裕ができる部分はあると思うので、一概に1件だけがいいとは言えません。
まとめ
志望動機は例文を探すものではなく、自分の経験と正直な気持ちから作るものです。
ネガティブな退職理由があっても、「何が嫌だったか」ではなく「何を大切にしたいか」という言葉に変えれば、前向きな志望動機になります。完全な嘘にする必要もなく、全部正直に話す必要もない。自分の経験の中から、本当のことを選んで言葉にする、そういう作業です。
私自身、転職サービスを使わず、1件だけ応募して転職しました。「これで大丈夫か」と確認できる人がいないまま準備したので、不安がなかったとは言えません。でも、自分で考えたから自分の言葉で話せた部分はあったと思っています。
志望動機が固まったら、次は実際に求人を見てみるのも一歩です。情報収集の選択肢として、看護師転職サイトおすすめ3選もあわせてご覧ください。
あなたの「自分の言葉での志望動機」が作れることを願っています。