精神科で働いてみてわかったこと|患者との関わりは思っていたのと違った
精神科で働くまでは、自分には向いていないと思っていました。
人と話すのが得意じゃない。だから患者と何を話したらいいのか?コミュニケーションが主な仕事なのにできるのか?
それに気になることに集中してしまう性格だから、患者さんにのめりこんで、しんどくなるのではないか?
精神科は人に寄り添うことが主な仕事だけど自分には向いていない。と、実際に働いてみるまでは、そう思っていました。
精神科を選んだ理由と、正直な不安
精神科への異動が決まったとき、率直に言うと不安でした。
「精神科の看護師」というイメージが、正直よくわかっていなかった。
学生の頃の実習したときの思い出しかなく、患者さんの対応ができるのか。その不安しかありませんでした。
そして何より、自分の性格の問題がありました。気になることに集中してしまう性格は、患者さんとの関わりで「のめりこみ」になるんじゃないか。特定の患者さんに感情移入しすぎて、かえって仕事にならないんじゃないかと思っていました。
でも異動は自分の意志と関係なく従うしかないので、やってみるしかなかった。
実際に働いてみて驚いたこと
配属された病棟は、精神科救急・合併症入院料の病棟でした。
精神疾患を抱えた患者が身体疾患の治療を目的に受け入れる病棟で、さらに県内の緊急措置入院の当番制も担っていました。精神の病気の患者と思いきや実際は外科や内科の看護も求められる。それに加え緊急措置入院で精神症状が超急性期の患者さんが次々と入ってくる。
入院当初の患者さんは、話が通じない状態であることも多い。暴れる、大声を出す、治療を拒否する。そういう状況の中で求められるのは「心のケア」よりも、安全を確保すること、身体治療を適切に進めることでした。
「精神科は寄り添う仕事」というイメージとは、全然違っていた。
そして、ある患者さんのことが今でも記憶に残っています。
入院してきたときは、錯乱していて話が通じない状態でした。脱法ハーブを使用していた患者さんで、最初は関わること自体が難しかった。でも徐々に状態が改善して、普通に会話ができるようになっていった。
ある日、半分冗談のつもりで「どこで買ったの?」と聞いてみたんです。「ネットで買った」と、普通に話してくれました。
その後、昼間の落ち着いた時間にトランプをして過ごしました。純粋に楽しかった、というのが正直な気持ちです。
「元はいい人なんだろう」
だから一緒に過ごしていても楽しいと思えたんだと思います。
それは急性期の状態しか知らなければわからなかったことだと思います。
精神科の患者さんとの関わりでしんどかったこと
楽しかった記憶がある一方で、しんどかった場面も正直にあります。
大声を出して暴れている急性期の患者さんに対して、男性看護師である自分は前に立たなければならない場面がありました。怖かった、というのが正直なところです。「やらなければ」という気持ちとは別に、怖さはそのままそこにありました。
また、治療を拒否している患者さんへの対応も難しかった。本人の意思と、必要な治療の間で、どこまで関われるのか。答えが出ないまま、その場で判断していくしかない場面がありました。
乗り越えた、とか、うまく対応できた、とかいう話ではありません。難しいまま経験した、というのが正直なところです。
精神科に向いている看護師・向いていない看護師
よく「精神科は向き不向きが大きい」と言われます。コミュニケーション力が高い人、感情的に安定している人、が向いていると言われることも多い。
ただ、自分の経験から感じることがあります。
「一人の人に丁寧に向き合うことができる人」は、精神科の仕事に合う部分があると思います。
自分は人と話すのが得意じゃないし、のめりこみやすい性格だと思っていました。でも実際に働いてみて、患者さんと自分との関係ができたときに「一人の患者さんと丁寧に向き合うことが自分に合っている」と感じやりがいを感じてました。大勢と軽快にやりとりすることよりも、一人の人と時間をかけて関わる方が、自分には合っていた。
逆に、感情の揺れが大きくなりやすい方、気持ちの切り替えが難しい方は、消耗しやすいかもしれません。これは向いていないということではなく、それだけ準備と環境が大事だということだと思っています。
精神科への転職を考えている人へ
精神科への転職を具体的に考えているなら、職場ごとの雰囲気や受け入れ体制はかなり異なります。
精神科の求人情報に詳しい転職サービスを使うと、病棟の特徴や雰囲気をある程度事前に確認できる場合があります。そういった選択肢もあることを、一応ここに置いておきます。
まとめ
精神科で働いた経験を振り返ると、「社会の闇を見た」という感覚があります。
精神疾患で本当に苦しんでいる人たちの背景には、生育歴や家族との関係など、苦しむだけの理由があることが多かった。自分の日常では関わることがないと思っていた人たちと、仕事を通じて接することになりました。
重い経験だったと思います。でも、大きな経験だったとも感じています。
向いていないと思っていた場所で、「一人の人に丁寧に向き合うことが自分に合っている」と気づいた。それは静かな気づきで、今もそのまま残っています。
あなたは、どんな患者さんとの関わりが記憶に残っていますか?
FAQ
Q. 精神科は未経験でも転職できますか?
はい、未経験から精神科に転職している看護師は多くいます。ただし病棟によって求められるスキルや雰囲気がかなり違うため、事前に職場の情報を集めることをおすすめします。
Q. 精神科の患者さんが怖いというイメージがあります。実際はどうですか?
急性期の患者さんとの関わりでは、怖いと感じる場面も正直あります。ただ状態が落ち着いてくると普通に話せる方が多く、入院当初と回復後では印象がかなり変わることが多いです。
Q. 精神科に向いているかどうか、どうすればわかりますか?
働いてみないとわからない部分が大きいと思います。「大勢と器用に関わること」より「一人の人と丁寧に向き合うこと」が合っていると感じるなら、精神科の仕事に向いている面があるかもしれません。