毎朝、出勤前に吐き気がする。布団から起き上がれない。「1年も持たないなんて情けない」——そんな思いで今日もスマホをみている、そんな方へ書いています。

「1年目で病むなんて、自分が弱いのかな」と思っているとしたら、そうじゃないとはっきり言いたいです。

私は看護師歴15年です。ICUから精神科まで複数の科を経験してきました。特に精神科身体合併症病棟では約12年間、精神疾患を抱えた患者さんの看護をしてきました。そして私自身も、朝布団から起きられなくなった時期があります。

精神科で患者さんを見てきた経験と、自分自身の限界体験の両方から、正直に書きます。


1年目で病むのは珍しいことじゃない

まず最初に言っておきたいのですが、1年目で精神的に限界になることは、珍しい話ではありません。

看護師の新卒離職率は例年10〜15%前後といわれています。これは「辞めた」人だけの数字です。辞めていないけれど「病んでいる」「限界に近い」状態で働き続けている人を含めたら、もっと多くなります。

なぜ1年目にそこまでなってしまうのか。それは個人の問題というより、職場や環境のほうに原因がある場合が多いです。

新卒で入職する医療現場は、はっきり言って過酷な環境です。命を扱う緊張感、教育が追いつかない現場の忙しさ、先輩との関係、夜勤による睡眠の乱れ。これが一気に重なるのが1年目です。

「1年で病むなんて、私が弱いのかな」と感じている方がいたとしたら、それは違うと思います。新人看護師がつらいと感じるのは、あなただけじゃない——構造的に追い詰められる環境に置かれているということです。


1年目に襲ってくるプレッシャーの種類

どんなプレッシャーが重なるのか、少し整理しておきます。

(1)覚える量の多さ
薬の名前、処置の手順、記録の書き方、申し送りの形式……。学校で習っていても、実際の現場での動き方はまったく別物です。「覚えることが多すぎて、どこから手をつければいいかわからない」という状態は、1年目なら当然だと思います。

(2)命に直結するプレッシャー
「自分のミスで患者さんが死ぬかもしれない」という感覚は、他の職種ではなかなか経験しないものです。このプレッシャーは慣れる人もいますが、ずっと重く感じ続ける人もいます。どちらが正常、ということはありません。

(3)人間関係の難しさ
先輩が怖い、お局的な存在がいる、チームの空気が重い。人間関係の問題は、仕事の内容と同じかそれ以上に精神的な消耗につながります。

(4)理想と現実のギャップ
「患者さんのためになりたい」と思って入った現場が、記録や雑務に追われる日々だったとき。この理想と現実のギャップは、無力感や「これでよかったのか」という自己不信にもつながります。

(5)睡眠リズムの崩壊
夜勤が始まると、体は想像以上に消耗します。昼夜逆転の繰り返しで、気持ちが安定しにくくなります。眠れない、眠れても疲れが抜けない——これが続くと、精神的にも余裕がなくなってきます。


体のサインを見逃さないでほしい

精神科で長く働いてきて、強く感じることがあります。それは、「体が出しているサインを無視しない」ということです。

以下のような状態が続いているなら、体が限界に近づいているサインかもしれません。

  • 出勤前に吐き気がする
  • 眠れない、または眠りが浅い
  • 食欲がない
  • 涙が突然出てくる
  • 休日も仕事のことが頭から離れない
  • 朝、布団から起き上がれない
  • ミスをしたあと、何日も気持ちが引きずられる

特に「朝、布団から起き上がれない」という状態は、ストレスが限界に達しているときに体が出す典型的なサインです。私自身も、師長との関係が悪化した時期に同じ状態になりました。あのとき、体は正直に「もう無理」と言っていたのだと、今は思います。

これらのサインは「気合いが足りない」のではなく、神経系が過負荷になっている状態です。ストレスが限界の方は、こちらも参考にしてみてください。また、メンタルの不調が続いていると感じる方はこちらにもまとめています。


「1年は続けろ」が正解とは限らない

「石の上にも三年」という言葉があります。これに対して私は、半分賛成・半分反対です。

長く続けることで見えてくるものは、確かにあります。1年では気づかなかった現場の流れや、自分に合った動き方がわかってくることもあります。

でも、それは「体や心を壊してまで続ける」ことを意味しません。

私が精神科で12年間見てきた患者さんたちは、生育環境の問題、職場での長年のストレス、人間関係の傷——そういった「苦しむ理由」がある方たちでした。精神的な不調は「甘え」でも「気の持ちよう」でも「根性で乗り越えられるもの」でもありません。それはずっと、目の前の患者さんを通して感じてきたことです。

以前、同僚がメンタルが限界になって退職したことがあります。そのとき私が思ったのは、「そりゃそうなるわな。辞めるのは当然」でした。その職場の状況を知っていれば、誰でもそう思うような環境だったからです。

自分の話をすると、私は休職しませんでした。理由は「自分の経歴に傷が入るのが嫌だった」からです。我慢強かった、根性があった、と思います。でも、それが正解だったかどうかは、今でもわかりません。

正直に言うと、こう思っています。

「私は我慢強かった、根性があった。でも無理なら頑張ることが自分を追い詰める。自分を大切に。必要なら休職していい」

今は本当に、そう思っています。

選択肢は「働き続ける」だけじゃありません。休職という選択肢について詳しく知りたい方はこちらも読んでみてください。また、1年目で辞めたいと感じている方はこちらに別途まとめています。

「自分に合わなくて辞めたいと思いながら働くのは、しんどいだけ」というのが私の実感です。働きやすい職場を探すという選択肢も、ちゃんとあります。


1年目の自分に、15年目の自分が思うこと

少し自分の話をします。

ICU1年目のころ、私はずっと辞めたいと思っていました。先輩が怖くて、がんばっても怒られてばかりで、「何をやっても怒られる」と感じると、周りが怖くなって仕事に向き合えなくなっていきました。

「自分は看護師に向いていない」と、そのころも思っていました。

15年目の今もそれは変わっていません。向いていない感覚は、今でも続いています。

「15年も経ったら向いていないなんて感じなくなるんじゃないか」と思うかもしれません。でも私の場合は違います。それが消えないまま続けてきました。

だからこそ言えることがあります。1年目で「自分は向いていないかもしれない」と感じていること——それは、おかしくないです。向いていないと感じながら働いている人は、私を含めてたくさんいます。

あのころの自分に何か言えるとしたら、「よく頑張ったよ。あの1年があったから、幅広いことを学べた。働いたことには十分価値があるよ」と伝えたいと思います。それと、「もっと肩を抜いて楽しく働いてな」とも。

自分を追い詰めないでほしい、ということです。


まとめ

1年目で病むことは、あなたのせいではありません。

環境が壊れている場合があります。プレッシャーが重なりすぎている場合があります。体がサインを出しているなら、それを無視しないでほしいです。

「1年は続けなきゃ」という縛りで、自分を壊す必要はありません。休職も、転職も、選択肢のひとつです。

一人で抱えすぎないでください。誰かに話すことが、ちょっとだけ気持ちを楽にしてくれることもあります。私自身、しんどいとき一番効いたのは友達に話して気持ちを切り替えることでした。たまっていたものを吐き出すだけでいい、そう感じていた時期がありました。

辞めることを考えている方は、こちらの体験談も読んでみてください。一つの選択肢として、参考になることがあるかもしれません。

あなたが今、どんな状態にいるのかは、私にはわかりません。でも、この記事を読んでいるということは、何か苦しいものを抱えているはずです。その苦しさは本物です。

ABOUT ME
ハロ
看護師歴15年。ICU・外科病棟・精神科身体合併症病棟・地域包括ケア病棟と4科を経験。現在も現役で病棟勤務をしています。 特に精神科身体合併症病棟では12年勤務し、精神疾患を抱えながら身体合併症の治療を要する患者さんと向き合ってきました。看取り、認知症ケア、終末期、急変対応――現場でしか得られないリアルを大切に、自分の体験と感情を正直に書くブログを運営しています。 「正解を教える」のではなく、「同じ目線で一緒に考える」スタンスで、読者の方が少し楽になる文章を目指しています。 【主な発信テーマ】 ・看護師のキャリアと転職 ・精神科看護のリアル ・看護師のメンタルヘルス ・現場で感じた違和感や気づき
今の職場、このままでいいですか?