新卒から同じ病院に14年間。

その間、部署の異動はありました。ICUから精神科へ。でも法人は変わらなかったし、知った顔がいる場所から出たことは一度もなかった。

そんな自分が初めて転職を考えたとき、一番しんどかったのは「次の情報を集めること」ではありませんでした。

「辞めて、別の場所で本当に働けるのか」

この問いが、ずっと頭にこびりついていました。

同じ病院しか知らない自分が、外の世界でやっていけるのか。自信がなかった。だから辞めたいと思い始めてから、実際に辞めると言えるまでに3年かかりました。

初めての転職に悩んでいる方、特に「ずっと同じ病院にいた」という方に、今の自分から伝えられることを書いてみます。


初めての転職は、わからないことだらけで当然

「看護師なんだから、どこでも働けるでしょ」と言われることがあります。でも実際は、長く同じ場所にいると、外の世界がどんどん見えなくなっていきます。

自分がそうでした。14年間、同じ法人の中にいると、「うちのやり方」が当たり前になる。他の病院がどんな雰囲気なのか、どんなルールで動いているのか、まったく想像がつかなくなっていました。

しんどかったのは「情報がない」ことよりも、「自分が通用するのかどうか、確かめる術がない」という感覚でした。

一番正直に言うと、「辞めたいと言いたいだけだったのかもしれない。たまっていたものを吐き出したかっただけだった」という気持ちもありました。師長になって3年、辞めたいと思いながらも言えなかったのは、外への踏み出し方が見えなかったから。

それは自分だけの問題ではなく、長く同じ場所にいれば誰でもそうなる、と今は思います。だから、「何から始めればいいかわからない」という不安は、まったく当然のことです。


転職活動の全体の流れ

初めての転職で最初に迷うのは、どこから手をつけるかではないでしょうか。全体の流れを知っておくだけで、少し動きやすくなります。

大まかには次のような順番です。

  1. 自分の希望を整理する(科・勤務形態・給与・通勤距離など)
  2. 求人を探す(転職サイト、病院の採用サイト、知人の紹介など)
  3. 履歴書・職務経歴書を書く
  4. 面接を受ける
  5. 内定後、退職の手続きを進める
  6. 入職

一度に全部やる必要はありません。まず「①希望の整理」だけやってみる、くらいの気持ちで始めるので十分です。

面接でどんなことを聞かれるか不安な方は、看護師の転職面接で実際に聞かれることも参考にしてみてください。


転職サービスは使った方がいいのか

転職エージェント(転職サービス)を使うかどうかは、よく話題になります。

使うメリットは、求人情報が多いこと、面接対策のサポートがあること、給与交渉を代わりにやってもらえることです。特に初めての転職で、「何が普通なのかすらわからない」という状況では、情報量を一気に補えるのは大きい。

デメリットとしてよく言われるのは、担当者によってはプッシュが強いこと、自分のペースで動きにくくなる場合があること、などです。

自分の場合は、転職サービスを使いませんでした。当時は仕組みをよく理解していなかったことと、担当者とのやり取りや採用への強引さへの懸念があって、使う気になれなかった。

代わりに、気になる病院の採用サイトを自分で探して、志望動機も「この病院のサイトで共感できる部分を探す」という方法で作りました。エージェントを使わない分、内情がわかる情報は限られていたし、結果論として転職はできたものの、「使った方が良かったかもしれない」という可能性は否定できません。

今振り返ると、「使うかどうか迷ったら、一度登録して情報収集だけしてみる」というのは悪くない使い方だと思います。押しつけられそうなら断ればいい。使わない選択も十分ありです。


「外に出ても大丈夫」と思えたきっかけ

初めての転職の一番の壁は、たぶん「情報不足」ではありません。

「自分が通用するのか、という不安」 です。

自分の場合、辞めたいと思い始めてから3年間、友人に愚痴を聞いてもらっていました。

「もう限界かもしれない」「外に出ても大丈夫かな」と話すたびに、友人は「やめても大丈夫だよ、次でもできるよ」と言ってくれた。

その言葉を何度聞いても、すぐには動けませんでした。でも散々話を聞いてもらって、やっと納得・満足した、という感覚がありました。

論理的な判断材料が揃ったから動いたのではなく、気持ちの整理がついたから動けた。これが正直なところです。

誰かに話を聞いてもらうことで、「自分の気持ちがどこに向いているか」が見えてくる。初めての転職の壁を越えるのに必要なのは、情報よりも、気持ちの整理だったと今は思います。


初めての転職で気をつけたいこと

自分の転職を振り返って、「もう少しこうしておけばよかった」と思うことがいくつかあります。

1. 焦りは禁物

自分の場合、転職先を決めずに退職しました。その後、結婚・入籍のタイミングが重なって、「早く再就職しなければ」という焦りが出てきた。

そこからの転職活動は、「やりたいこと」よりも「早く決めたい」という気持ちが原動力になっていました。焦りで動くと、比較する余裕がなくなります。

できれば、在職中に余裕を持って動いた方がいい。それが今の自分から言えることです。転職のタイミングについては、看護師の転職タイミングの考え方も読んでみてください。

2. 1件だけで決めるリスク

自分は応募を1件しかしませんでした。「看護師はどこでも人手不足だから、願書を出せばすぐ採用される」と思っていたし、実際1件で通りました。

でも振り返ると、比較できる選択肢があった方がよかった。「ここしかない」という状況で選ぶと、後から「もっと他を見ればよかった」と思うことになりやすい。

後悔しない転職にするために、複数の求人を見ておくことをおすすめします。看護師の転職で後悔しないためにで、事前に確認しておきたいポイントをまとめています。

3. 「早く行動しておけばよかった」

3年間悩みながら、辞めたいと言えなかった。転職先が決まってからも、ブランク期間に「社会とのつながりがなくなった」という不安がありました。

今振り返ると、もっと早く行動してもよかったと思います。転職で後悔しないための判断材料を先に持っておくことが、行動への後押しになります。看護師の転職で後悔した体験談も、一度読んでおくと参考になるかもしれません。


初めての転職を終えた後、どう感じたか

転職してよかったことは、率直に言って「師長との折り合いの悪さから解放されたこと」でした。

それが一番大きかった。年収はほぼ変わらず、通勤は楽になり、残業は減りました。「使える時間が増えた」という感覚が、じわじわと出てきました。

一方で、変わらなかったこともあります。男性看護師が自分一人、という状況は転職先でも同じでした。新しい職場では、年下でも先輩は先輩。独り立ちを求められるスピードは早かった。

でも、「ここにいなくていい」という開放感は本物でした。

そして何より思ったのは、「職場が変わってもなんとかなる」 ということです。

外に出てみて初めてわかった。転職前に「自分が通用するのか」と怖かったことは、実際に出てみると「なんとかなった」に変わっていました。


まとめ

初めての転職は、わからないことだらけで当然です。

14年同じ場所にいた自分が転職してわかったのは、壁の正体は「情報不足」よりも「気持ちの整理がついていない」ことだったということ。誰かに話を聞いてもらうことで、動けるようになりました。

焦って決めなくていい。比較できる選択肢を持っておく。それだけで、転職の後悔はかなり減らせると思います。

初めてだからこそ、情報収集に時間をかけてほしいと思います。転職サイトを活用するのも選択肢のひとつです。使わない選択もあるし、情報収集だけに使う選択もある。どう使うかは自分次第です。

転職サイトを比較したい方は、看護師転職サイトのランキング・比較を参考にしてみてください。


初めての転職、「なんとかなる」と思えるまで時間がかかっても、それは普通のことです。あなたにとってのペースで、一歩ずつ進めていけたらいいと思います。

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ハロ
看護師歴15年。ICU・外科病棟・精神科身体合併症病棟・地域包括ケア病棟と4科を経験。現在も現役で病棟勤務をしています。 特に精神科身体合併症病棟では12年勤務し、精神疾患を抱えながら身体合併症の治療を要する患者さんと向き合ってきました。看取り、認知症ケア、終末期、急変対応――現場でしか得られないリアルを大切に、自分の体験と感情を正直に書くブログを運営しています。 「正解を教える」のではなく、「同じ目線で一緒に考える」スタンスで、読者の方が少し楽になる文章を目指しています。 【主な発信テーマ】 ・看護師のキャリアと転職 ・精神科看護のリアル ・看護師のメンタルヘルス ・現場で感じた違和感や気づき
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