「休職」という言葉を検索しているなら、もう十分に頑張ってきたのだと思います。

休職を考え始めるまでに、どれだけのことを我慢してきたか。どれだけ「もう少し、もう少し」と自分に言い聞かせてきたか。その重さを軽く見てほしくないし、自分でも軽く見ないでほしいと思います。

私自身は休職を経験していません。ただ、師長との関係が限界に近づいたとき、「朝、布団から起きられなくなった」経験があります。それでも当時の私は休職を選ばなかった。今になって、あのときどうすればよかったかを考えることがあります。

この記事は、「休職するかどうか迷っている人」「休職中に復帰が不安な人」に向けて書いています。私の体験は「休職しなかった側」の話になりますが、環境を変えた経験やブランク後に復帰した経験から、少しでも参考になることがあればと思っています。


休職を考えている時点で、十分頑張っている

「休職したら負け」「根性が足りない」と思っている人がいたら、それは違うと伝えたいです。

休職を考える人が弱いのではなく、その職場の環境が人を消耗させているのだと思います。同じ職場にいて同じように消耗しながら、休職する人とそうでない人がいるとしたら、その差は「強さ」ではなく「たまたまのタイミング」や「体の限界のラインの個人差」でしかないと思っています。

私が師長との関係で限界に近づいたとき、職場の同僚がメンタルの限界で退職していきました。そのとき、正直な気持ちとして「そりゃそうなるわな。辞めるのは当然だ」と思いました。責める気持ちは一切なく、むしろ「よくそこまで頑張ったな」という感覚でした。

それと同じように、今休職を考えているあなたのことも「よくそこまで頑張った」と思います。

私自身は「自分の経歴に傷が入るのが嫌だった」という理由から休職を選ばなかった。3年間、悩みながら踏みとどまりました。でも今振り返ると、思います。

私は我慢強かった、根性があった。でも無理なら頑張ることが自分を追い詰める。自分を大切に。

休んでいい、と今の私は思います。あのとき、もっと早く休む選択があってよかったと。

メンタルの不調が続いているなら、まずは医療機関に相談することをおすすめします。詳しくは看護師でメンタルが病む、そのとき何をするかでも触れています。


看護師の休職の基本(制度・手続き)

休職を考え始めたとき、制度のことがよくわからなくて不安になる人も多いと思います。ここで基本を整理しておきます。

休職中のお金:傷病手当金

休職中の収入として頼りになるのが「傷病手当金」です。健康保険から支給される制度で、病気やケガで仕事を休んでいる期間にもらえます。

支給額は、標準報酬日額の3分の2が目安です。月収30万円の人であれば、おおまかに月20万円前後になる計算です。支給期間は通算1年6ヶ月。申請には医師の証明書(診断書)が必要です。

給料全額ではないので生活が少し苦しくなる可能性はありますが、0円にはなりません。「休んだら収入がゼロになる」という心配は、傷病手当金があれば避けられます。

休職の手続き

流れとしては、まずかかりつけ医または精神科・心療内科を受診し、「休職が必要」という診断書をもらいます。それを職場(主に上司や人事)に提出し、休職の手続きに入ります。

職場によって手続きの詳細は異なるので、社会保険の担当部署や人事に確認するのが確実です。「どう伝えればいいか不安」という場合は、診断書を持って「医師から休職を勧められました」とだけ伝えれば十分です。


休職中に何をすればいいか

「休職中に何をすればいいか」と悩む人がいますが、答えはシンプルで、何もしなくていいです。

資格の勉強をしなくていい。転職活動を始めなくていい。ボランティアで体を動かさなくていい。「何かしていないと不安」という気持ちはよくわかりますが、休職中の仕事は「回復すること」だと思います。

体も心も、回復には想像以上に時間がかかります。「もう元気かも」と思っても、また波が来ることもある。焦って早期復帰しようとして再発するケースは珍しくありません。

睡眠を整える、食事を取る、日光を浴びる、少し外を歩く。そういう「当たり前のこと」を取り戻すことが、最初の仕事だと思います。

ストレスの限界サインについては看護師のストレスが限界になる前に知っておきたいこともあわせて読んでみてください。


復帰への不安は自然なこと

休職中に「復帰できるか不安」と感じるのは、ごく自然なことです。

「同僚の目が怖い」「休んでいた分、仕事について行けるか」「また同じことが起きたらどうしよう」——そういう不安が頭をぐるぐる回るのは、休んでいる間も頭が働いている証拠で、むしろ真剣に仕事と向き合ってきた人ほど出やすいと思います。

復帰のタイミングや方法について、一般的に言われているのは「段階的な復帰」です。いきなりフルタイムで戻るのではなく、最初は短時間勤務から始めたり、業務の負荷を調整したりしながら少しずつ通常の状態に戻していく方法です。職場によっては「リワーク支援」と呼ばれる制度があります。

復帰先の環境が整っているかどうかも、大事な要素です。「また同じ職場に戻って、また同じことが起きたら」という不安があるなら、それは次の見出しで考えます。


復帰先は元の職場でなくてもいい

私が師長との関係で限界に近づいたとき、休職は選ばなかったけれど、退職して別の病院に転職しました。

転職して一番大きかった変化は何かと聞かれたら、「前の師長との折り合いの悪さによる悩みから解放されたこと」だと答えます。仕事の内容が変わったとか、給料が上がったとか、そういうことよりも、その悩みがなくなったことの方がずっと大きかった。

当時は「辞めて別の場所で働けるのか」が一番しんどかった。3年間、そこだけが怖くて踏み出せなかった。でも実際に動いてみると、「なんとかなる」という感覚が確かにありました。

休職の原因が職場環境にあるなら——特定の人との関係、部署の雰囲気、業務量の問題——元の職場に戻ることが必ずしも正解ではない場合があります。同じ病院内での異動でも、病院そのものを変える転職でも、「環境を変える」という選択は前向きな選択です。

「辞める」という選択肢が浮かんでいる人には、夜勤や体調面の問題が重なっていることも多いと思います。看護師の夜勤で体調不良が続くときも読んでみてください。


看護師免許は残る。焦らなくていい

前職を退職したとき、私は「1年弱のんびりするつもりだった」のですが、実際には結婚・入籍のタイミングと重なって、思ったより早く再就職を考え始めることになりました。

「社会とのつながりがなくなった感覚」がありました。家族や友人はいる。でも、仕事という形での社会とのつながりがないことへの不安は、想像していた以上に大きかった。

ただ、実際に転職活動を始めてみると、面接で経歴をほとんど深く聞かれることはなく、「いつから働けますか」という話になりました。看護師不足の現実があるから、ブランクがあっても「来てください」という状況が多い。そこで改めて「なんとかなるな」と思いました。

休職していても、退職してブランクがあっても、看護師免許はなくなりません。技術は戻ります。記憶は案外残っています。「もう看護師として働けないかもしれない」という不安は、多くの場合、回復してから動いてみると思ったより大きくなかった、ということになると思います。

だから、今は回復することに集中してほしい。次のことは、動けるようになってから考えれば十分に間に合います。

ブランクからの復帰については看護師のブランクがあっても大丈夫な理由で詳しく書いています。


まとめ:休むことは、前に進む選択

休職は「弱さ」ではありません。限界まで頑張ってきたこと、でも今は体と心が限界を訴えていること。それをちゃんと受け取ることが、休職という選択の意味だと思います。

制度は整っています。傷病手当金があり、段階的な復帰の仕組みがあります。元の職場に戻る義務もなく、ブランクがあっても看護師として働き続けることはできます。

私が環境を変えて感じたのは、「問題の原因が職場環境にあるなら、その環境から離れることは正しい判断だ」ということでした。なんとかなる、という実感は、動いてみた先にあります。

もし「辞めることも頭にある」という気持ちがあるなら、同じように悩んで辞めた経験を書いた記事もあります。押しつけではなく、選択肢の一つとして読んでもらえればと思います。

看護師を辞めたい。辞めて気づいたこと、辞めてよかったこと

今この瞬間、休むことを選ぼうとしているなら、それは前に進むための選択です。回復のペースは人それぞれでいい。あなたのペースで、一歩ずつ。


よくある質問

Q. 傷病手当金はいくらもらえますか?

標準報酬日額の3分の2が支給されます。たとえば月収が30万円の場合、おおまかに月20万円前後が目安です。支給期間は通算1年6ヶ月で、申請には医師の証明書が必要です。

会社の健康保険に加入していることが条件なので、国民健康保険の場合は対象外になります。勤務先の総務・人事か、加入している健康保険組合に確認するのが確実です。

Q. 休職は転職で不利になりますか?

履歴書に休職歴を書く義務はありません。転職の面接で聞かれた場合も、「体調を整えるために休養期間を取りました」という説明で対応できるケースが多いです。看護師の場合は人手不足の業界ということもあり、「いつから働けますか」という話が先になることが実感としてあります。

「休職があると採用されない」という心配は、多くの場合、想定より小さいと思います。

ABOUT ME
ハロ
看護師歴15年。ICU・外科病棟・精神科身体合併症病棟・地域包括ケア病棟と4科を経験。現在も現役で病棟勤務をしています。 特に精神科身体合併症病棟では12年勤務し、精神疾患を抱えながら身体合併症の治療を要する患者さんと向き合ってきました。看取り、認知症ケア、終末期、急変対応――現場でしか得られないリアルを大切に、自分の体験と感情を正直に書くブログを運営しています。 「正解を教える」のではなく、「同じ目線で一緒に考える」スタンスで、読者の方が少し楽になる文章を目指しています。 【主な発信テーマ】 ・看護師のキャリアと転職 ・精神科看護のリアル ・看護師のメンタルヘルス ・現場で感じた違和感や気づき
今の職場、このままでいいですか?