「看護師辞めたい」は甘えじゃない。そう思う理由を話す
「辞めたいなんて甘えだ」と、自分に言い聞かせたことはありますか。
つらいのに、限界なのに、それでも「こんなことで辞めるのは甘い」と自分を責めてしまう。そういう人に、この記事は書いています。
15年間、看護師として働き続けてきました。つらくて辞めたいと思ったことは、何度もあります。でもそのたびに「もう少し頑張れる」「甘えてはいけない」と自分を押し込んできました。
その経験があるからこそ、言えることがあります。
「辞めたい」は甘えじゃない。そう思う理由を、正直に話してみます。
「辞めたいのは甘え」と感じてしまう構造
なぜ看護師は、辞めたいと思うことを「甘え」だと感じやすいのでしょうか。
一つは、看護師教育の中にある「患者のために尽くすべき」という規範です。学生の頃から、使命感や奉仕精神を繰り返し刷り込まれます。「自分のことより患者さん」という価値観が、骨の髄まで染み込んでいきます。
そこに「人手不足」が重なります。「自分が辞めたら職場が回らない」「患者さんに迷惑がかかる」という罪悪感が、辞めたいという気持ちをさらに押し込めます。
そして「みんなつらい中、やっているんだ」という同調圧力。周りも必死に働いているのに、自分だけ弱音を吐くことへの後ろめたさ。
この3つが重なると、「つらい」という感情そのものが「甘え」に見えてきます。
でも考えてみてください。これは個人の弱さではなく、そう感じさせる環境の構造です。
甘えかどうかは、他人が決めることじゃない
「辞めたいのは甘え」と言うのは、ほとんどの場合、辞めたいと思っている本人ではありません。周囲の人間です。
同じ状況に置かれても、感じ方は人それぞれです。限界の場所も、限界を感じるタイミングも、違います。他人の物差しで自分を測る必要はないと思っています。
自分が退職を決めたとき、「逃げてる」と思われるかもしれないと考えたことがありました。退職代行を使うことを検討したときも、そういう不安がありました。
でも、今は思います。逃げてると思うのは相手が勝手に思うことであり、自分には関係ない。
人の評価は、その人自身の価値観から出てきます。あなたの状況を本当に知っているのは、あなただけです。
「限界」と「甘え」の境目がわからないとき
「甘えなのか、限界なのか、自分でも区別がつかない」という人は多いと思います。正直、私もそうでした。
ある時期、師長との関係が悪化してから、朝布団から起きられなくなりました。
「また今日も行かなきゃ」と思うたびに、体が動かない。強い意志があっても、起き上がれない。
そのとき、頭の中では「甘えるな」と言い続けていました。でも体は違うことを言っていました。
これは今振り返ると、体が先にSOSを出していた状態でした。
「甘えかどうか」で悩む前に、体のサインに目を向けてみてください。出勤前に気分が悪くなる。ご飯が食べられない。夜眠れない。こういった変化は、「甘え」ではなく、体や心が限界に近づいているサインです。
「甘えかも」と悩んでいること自体が、すでに追い詰められているサインかもしれません。
辞めたいと思う理由に、大きいも小さいもない
「人間関係で辞めたい」「夜勤が限界で辞めたい」「給料が低くて辞めたい」「もうやりがいを感じられない」
どれも、立派な理由です。
「もっとつらい人がいる」という比較は、意味がないと思っています。
職場で一緒に働いていた同僚が、メンタルの限界で退職したことがありました。そのとき、私は素直にそう思いました。「そりゃそうなるわな。辞めるのは当然だ」と。
でも不思議なことに、他人のことはそう思えるのに、自分のことになると「甘えじゃないか」と思ってしまう。
この矛盾に、気づいたことはありますか。
自分が辞めたいと思う理由を「小さい」と思ってしまうなら、同じ状況の同僚がいたとして、その人の理由を「小さい」と言えるかどうか、一度考えてみてください。
おそらく言えないと思います。それは、あなた自身の理由も同じです。
夜勤のしんどさが積み重なって限界を感じている方は、夜勤のつらさについて書いた記事も読んでみてください。
それでも「甘え」が頭から離れないなら
考え方を変えようとしても、なかなか変わらないことは多いです。「甘えじゃない」と頭でわかっていても、気持ちがついてこない。
そういうときは、考え方を変えようとするより、行動を変えることの方が、気持ちが先に動くことがあります。
一番効いたのは、友達に話を聞いてもらうことでした。1年目の頃も、ストレスが限界になったときも、ずっとそうしてきました。一人で抱え込んでいたときと、誰かに話せたときとでは、気持ちの軽さが全然違いました。
「甘えかどうか」の正解を求めて一人で悩み続けるより、誰かに声に出して言ってみることの方が、答えに近づけることがあります。
もし「辞めたいけど、そもそも言い出せない」という状況なら、まず言えない理由をほぐすことが先かもしれません。辞めたいのに言えないと感じている方へ書いた記事に、その話を書いています。
「辞めたいけど辞められない」という構造的な問題で詰まっている方は、辞められない理由を整理した記事も参考になるかもしれません。
「辞めると伝えたときに引き止められた場合の対処」については、この記事に詳しく書いています。
15年働いた自分が思う「甘え」の話
私は15年、看護師として働いてきました。
我慢強かったと思っています。根性もあったと思います。つらいことがあっても、「もう少し続けよう」と自分を奮い立たせてきました。
でも、今の自分の考えはこうです。
私は我慢強かった、根性もあった。だからこそわかるのですが、無理に頑張ることは自分を追い詰めます。
休職しなかったことがあります。そのときの正直な理由は、自分の経歴に傷が入るのが嫌だったからです。あのとき休職していたら、違う経過があったかもしれないと今は思います。必要なら休んでいい。それは甘えじゃない。
師長との関係が崩れていた頃のことは、今でも鮮明に覚えています。あの師長は、在職中からパワハラと感じることがありました。退職後に訴えられて、異動になったと聞きました。あのときの自分に言えるとしたら、「もっと早く自分の気持ちを大切にしてよかった」ということです。
辞めたいと思うことは、弱さではありません。自分が何を感じているかに、ちゃんと気づけているということだと思います。
まとめ
「辞めたい」と感じることに、大きいも小さいもありません。
甘えかどうかを判断するのは、他人ではなくあなた自身です。体が先にSOSを出しているなら、それは「甘え」ではなく「限界のサイン」です。
15年続けてきた自分が思うのは、自分の気持ちを大切にしてほしい、ということです。それだけです。
「辞めたい」という気持ちを持った方のリアルな体験談を読んでみたい方は、こちらもあわせてどうぞ。一人で悩まなくていいと、少し思えるかもしれません。
あなたの気持ちは、あなたが一番よく知っています。