看護師の転職、30代は遅くない。むしろちょうどいい
看護師の転職、30代は遅くない。むしろちょうどいい
「30代で転職って、もう遅いのかな」と思っていませんか。
私は36歳のとき、14年勤めた病院を離れました。転職後に振り返ってみると「むしろ、もっと早く動けばよかったな」というのが正直な感想です。遅かったのは年齢ではなく、行動でした。
この記事では、30代で転職を考えている看護師の方に、私の体験をもとにした話をお伝えします。背中を押したいわけでも、転職を勧めたいわけでもありません。ただ、「30代の転職はアリかもしれない」と少し思えるきっかけになればと思っています。
30代の転職は「今さら」じゃない
「今さら転職して、新しい職場でやっていけるのか」という不安、わかります。私も同じでした。
私が転職を考え始めたのは、新しい師長との関係がうまくいかなくなってからです。それから辞めることを決断するまでに3年かかりました。迷った3年間の多くは、「30代後半で環境を変えて、別の場所でやっていけるのか」という不安に費やしていたと思います。
30代は、看護師としてのキャリアの中間地点です。経験は十分に積んでいる。でも、まだ変われる柔軟さも残っている。転職市場的にも、即戦力として評価されやすい年代です。ライフイベント(結婚・出産など)との兼ね合いで転職を考える方も多く、「30代で転職する」こと自体はとても自然な選択です。
転職後の今、「あのとき動いてよかった」と思っています。逆に言えば、動くのを3年間ためらっていたことへの「もったいなかったな」という気持ちもあります。
20代での転職を検討している方にはこちらの記事も参考にしてみてください。40代での転職についてはこちらでまとめています。
30代の看護師が転職を考える理由
転職を考えるきっかけは人それぞれですが、私自身が感じていたのは「体力の限界」でした。
20代のころは夜勤が終わっても翌日に引きずらなかった。でも30代後半になってくると、夜勤の疲れが次の日の仕事にそのまま響くようになりました。「このまま続けられるのか」という疑問が、だんだん消えなくなっていった。
「年をとっても、今の働き方を続ける自信がない」。それが一番大きな転職の動機だったと思います。
30代で転職を考える理由はいくつかあります。体力面の変化だけでなく、「将来が見えない」「人間関係に疲れた」「ライフスタイルが変わった」「今の職場では得られないものがある」——どれも正当な理由です。
急性期を離れることは「逃げ」なのか。当時はそう考えて足踏みしていた時期もありました。でも今は、「体力と経験のバランスを見直す時期」と捉えた方が自然だと思っています。
30代の経験はどこでも通用する
精神科で12年働いた後、地域包括ケア病棟への転職でした。領域が全く違います。「使い物になるのか」と不安はありました。
でも実際に働き始めてみると、独り立ちまでは1カ月でした。他の人の目が離れて、自分のペースで動けるようになるまでにかかった時間は、思っていたより早かった。
ただ、早ければ楽だったかというと、そうでもありませんでした。物品の違いがあったり、ルートの固定の仕方が「ここではそうじゃない」と言われたり。今までやってきたことがそのまま使えないもどかしさが、ずっとそこにあった。「1カ月で動けるようになった」と「今までのやり方が通じない」は、同時に起きていたことです。
私はこれまで4つの診療科を経験しています。未経験の科に入るたびに感じてきたことがあります。「わからないことは勉強する。わからないことは確認する。それにつきる」。これは30代になっても変わらない。どこへ行っても、このスタンスがあれば何とかなりました。
30代の経験は、自分が思っている以上に通用します。病棟が変わっても、科が変わっても、基本的な看護の力は移動しません。即戦力として見てもらえる強みが、30代にはあります。
クリニックへの転職を検討している方はこちらの記事も参考にしてみてください。
年下の先輩にどう接するか
転職すると、今まで後輩だった年齢の人が「先輩」になります。これは30代で転職するときの、心理的なハードルの一つだと思います。
私の場合、転職先では年下の先輩から看護技術を一つずつ確認されました。「できますか?」「やってみてください」というやりとりが続く。最初は正直「信用されていない」という感覚がありました。14年やってきたのに、という気持ちが顔をのぞかせる。
でも、考えてみれば当然のことです。新しい職場では、自分は「一番下っ端」です。過去のキャリアは関係ない。その職場でのルールや手技を確認するのは、向こうの仕事でもあります。
すぐに割り切れたわけではありません。時間薬で消化した、というのが正直なところです。じわじわと、「この職場では自分は一番下っ端なんだから、素直に従うのが正解だ」と思えるようになっていった。
年下の先輩に教わることを「プライドが傷つく」と感じる気持ちは、私にもありました。でも「謙虚に学ぶ」というのは、年齢やキャリアに関係なく、新しい環境に入るときに必要なことだと今は思っています。瞬間的に切り替えられなくてもいい。時間をかけて消化できれば十分です。
30代の転職で大事にしたいこと
転職するときに何を優先するか、これは人によって違います。私は「収入は下げたくない」という軸が一番明確でした。
仕事を変えたいとは思っていたけれど、年収を大幅に下げることは考えていませんでした。当時、結婚のタイミングも重なっていたこともあって、「仕事していないことへの不安」も感じていた。だから、経済的な安定はゆずれなかった。
それ以外では「ゆっくりと落ち着いて、患者一人一人と向き合える職場」という希望がありました。精神科・地域包括ケア病棟・緩和ケア病棟を候補にして、最終的には給料と年間休日の数字で比較して決めました。
雰囲気とか理念とか、そういうことも気になったかといえば気になった。でも、最後に絞り込んだのは数字でした。自分は給料と年間休日を軸に決めた。それだけのことです。
転職で後悔しないために意識したいポイントについてはこちらの記事でまとめています。合わせて読んでみてください。
36歳で転職した自分が思うこと
転職して一番大きかった変化は、師長との関係に悩まなくてよくなったことです。
前の職場で「辞めたい」と思うようになったのは、師長との折り合いが悪かったことが大きな理由でした。それが転職後は、そもそも存在しない悩みになった。「消耗していた分が消えた」という感覚です。
年収はほぼ変わりませんでした。通勤は楽になり、残業は減りました。男性看護師が一人という状況は変わりませんでしたが、「失敗した」とは思っていません。
転職を通じて得たのは、年収ではなく「消耗が減った分の余白」でした。
精神的に消耗しない分、仕事以外のことを考える余裕ができた。それが一番変わったことだと思っています。
「職場が変わっても、なんとかなる」という実感も得られました。これは転職前には持てなかったものです。
まとめ
36歳で転職して思ったことを、正直に書きました。
転職が「正解」かどうかは、人によって違います。でも「30代で転職するのは遅い」ということはない、と経験者として言えます。むしろ、経験がある分だけ動きやすいし、自分が何を求めているかも見えている。
私は「行動して後悔するか、行動せずに後悔するか、なら行動して後悔したほうがいい」という気持ちで転職を決めました。今のところ、後悔はありません。
この記事を読んでいる30代の方が、少しだけ「動いてみようかな」と思えるきっかけになれば、それで十分です。転職するかどうかの判断は、最終的に自分でするものですから。
転職サイトを実際に使って比較した経験をまとめた記事もあります。転職を具体的に考え始めた方は、転職サイトの比較記事も参考にしてみてください。36歳で転職した実感から、使ってみてよかったサービスをお伝えしています。
一緒にがんばりましょう。