看護師の転職で後悔しないために考えておくこと

看護師の転職で「失敗したくない」と思う方へ。転職前に整理しておきたいことと、転職後も全部が解決するわけではないという現実を、実体験をもとにお伝えします。

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目次
  1. 「転職の失敗」って何だろう
  2. 転職前に整理しておきたい3つのこと
  3. 1. 辞めたい理由は何か
  4. 2. 転職先に求めるものの優先順位
  5. 3. 絶対に下げたくない条件
  6. 情報収集で見落としがちなこと
  7. 転職サービスを使うかどうか
  8. 「なんとかなる」の裏にある準備
  9. 転職先が合わなくても、それは「失敗」じゃない
  10. まとめ

転職して後悔したくない。

たぶんそれは、転職を考えたことがある看護師なら一度は思うことだと思います。

でも、「後悔しない転職」って、どういう転職のことを言うんでしょうか。

年収が上がること?人間関係が改善されること?やりがいが見つかること?

転職を考えはじめたとき、私は「失敗したくない」という気持ちとぼんやりした不安の中に、自分が本当に何を求めているのかを整理できないままでいました。この記事では、転職前に考えておいてよかったことと、転職後に気づいたことを正直にお伝えします。

「転職の失敗」って何だろう

転職の失敗と聞いて、何を思い浮かべますか?

年収が下がった。人間関係が前より悪くなった。仕事が合わなかった。また辞めたくなった。思い浮かぶパターンはいくつかあると思います。

でも、「失敗」の中身を自分の言葉で言えますか?

たとえば、わたしが転職を考え始めたとき、頭にあったのは師長との関係のことでした。当時の職場では師長との折り合いが悪く、ある時期から朝布団から起きられない日が続きました。「ここで働くことがしんどい」と、その一言に尽きる状態でした。

そんな状態だったので、転職の最優先目的は「師長から離れること」でした。年収が多少変わっても、次の職場でも男性看護師が一人でも、それは二の次でした。

転職を終えてみると、「失敗」の定義は人によって本当に違うなと感じます。私にとっては師長から離れることが最優先だったから、年収がほとんど変わらなくても「失敗した」とは思わなかった。

でも、もし誰かが「年収アップ」を最優先にしていたとしたら、その人にとっての「失敗」の基準は私とは全然違います。

「転職で失敗しないために」と考えるとき、まず整理しておきたいのは、「自分にとっての失敗は何か」という問いだと思います。

転職で実際に後悔した経験については、こちらの記事に詳しく書いています。あわせて読んでみてください。

転職前に整理しておきたい3つのこと

転職の方向性を決めるにあたって、実際に役立ったのは次の3つを整理することでした。

1. 辞めたい理由は何か

「辞めたい」と一口に言っても、その中身はいくつかに分かれます。

  • 今の職場の環境(人間関係・体制)が嫌なのか
  • 仕事の内容そのものが合わないのか
  • 看護師という職業自体にしんどさを感じているのか

この3つは対処法がそれぞれ違います。環境が嫌なら転職で解決できる可能性が高い。でも、看護師という仕事自体に疲れているなら、職場を変えるだけでは根本が変わらないかもしれません。

自分がどこに一番しんどさを感じているかを少し整理しておくと、転職先を選ぶときの軸になります。

2. 転職先に求めるものの優先順位

転職先に求めるものを全部並べると、たいていは矛盾します。「年収を下げたくない」「残業を減らしたい」「ゆっくり患者と向き合える環境がいい」、全部満たす職場はなかなかありません。

私が転職を考えていたとき、一番明確だったのは「収入は下げたくない」という気持ちでした。それは交渉の余地なく、絶対に曲げたくない基準でした。

そのほかの希望としては、「年をとっても働き続けられる環境がいい」「急性期のペースがしんどくなってきた」という感覚から、精神科・地域包括ケア病棟・緩和ケア病棟などを候補に考えました。

全部は手に入らないから、どれを優先するかを決める。それが転職先選びの現実だと思います。

3. 絶対に下げたくない条件

希望とは別に、「ここだけは絶対に譲れない」という条件を1〜2個持っておくと、選択肢が絞りやすくなります。

それは年収でも、通勤時間でも、夜勤回数でも何でもいいんですが、「これさえ守れれば、あとは動いてみていい」と思えるラインを決めておくことで、迷いすぎを防げます。

転職のタイミングについて悩んでいる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

情報収集で見落としがちなこと

求人票を見ているだけでは、わからないことがたくさんあります。

特に見落とされやすいのが、残業の実態・夜勤の回数・人間関係の雰囲気です。これらは求人票には書いてありません。

面接の場で確認できることもあります。たとえば「平均的な残業時間はどのくらいですか」「夜勤は月に何回が標準的ですか」といった質問は、面接で聞いても不自然ではありません。答え方の歯切れが悪い場合は、それ自体が情報になります。

病院見学が可能な場合は積極的に活用したほうがいいです。スタッフの動きや雰囲気は、見学してはじめてわかる部分が大きいです。

私は転職サービスを使わずに採用サイトを自分で見て応募したので、情報収集の手段がどうしても限られました。「エージェントを使わずに内情を知るには、サイトを見るしかない」というのが当時の実感でした。それはそれで判断できましたが、使える手段はできるだけ使っておいた方がいいとは今も思います。

転職サービスを使うかどうか

転職サービス(エージェント)を使うかどうかは、人によって判断が分かれると思います。

転職サービスのメリットとしては、非公開求人にアクセスできる・面接対策のサポートを受けられる・内定後の条件交渉を代行してもらえる、といった点が挙げられます。

一方で、担当者との相性によって提案の質が変わる・希望に沿わない求人を押される場合がある・エージェント経由の応募が病院側に伝わることへの違和感、といった点を気にする人もいます。

私は最終的にサービスを使いませんでした。正直、転職エージェントに対してポジティブな印象があまりなく、担当者とのやり取りや強引な採用への懸念が払拭できませんでした。自分で採用サイトを見て情報を集め、直接応募しました。

ただ、それが正解かどうかはわかりません。エージェントを通じて良い転職ができた人も多くいます。「使わない選択もある」ということを伝えたいだけで、使うことを否定したいわけではないです。

「なんとかなる」の裏にある準備

転職しようと決めるまで、新師長が就任してから3年かかりました。

3年間、ずっと悩んでいました。辞めたいと思いながらも、「次の職場でやっていけるのか」という不安が邪魔をして、なかなか動けなかった。「辞めて別の場所で働けるのか」というのが、一番しんどい問いでした。

背中を押してくれたのは、友人でした。転職のことを友人に散々話を聞いてもらいました。何度も、長い時間をかけて。「やめても大丈夫、次でもできる」という言葉を聞いて、「やっと納得・満足した」という気持ちになれました。

振り返ると、私が必要としていたのは「正しい情報」ではなく、「自分の気持ちの整理」だったと思います。転職するかどうかを決めるための判断材料よりも、「自分はどうしたいのか」を言葉にする時間と相手が必要だった。

退職の意思が固まってからは、引き止めに一瞬も揺らがなかった。それは、十分に悩んで自分で納得した後だったからだと思います。

「なんとかなる」という言葉は、何も考えずに使うと無責任です。でも、十分に悩み考え抜いた上で実感として持てる「なんとかなる」は、根拠のない楽観とは違う。準備なしの「なんとかなる」と、散々悩んだ末の「なんとかなる」は、中身が違います。

退職の引き止めへの対処法については、こちらの記事も参考にしてみてください。

転職先が合わなくても、それは「失敗」じゃない

転職してみて、全部がよくなったわけではありませんでした。

男性看護師が自分一人という状況は、前の職場でも今の職場でも変わりません。「ちょっとした愚痴を話せる人がいない」という孤立感は続いています。

でも、一番大きく変わったことがあります。前の師長との折り合いの悪さによる消耗から、解放されたこと。それだけで、職場に行くことへのしんどさが全然違いました。年収はほぼ変わらず、通勤は楽になり、残業も減りました。

転職で全部が解決するわけではない。それは最初からわかっていたことでもあります。でも、一番つらかったことが解消されれば、それは「成功」と言えると思います。

もし転職先が全部合わなくても、何かひとつだけでも「ここはよかった」と思えるものがあれば、それは失敗ではないと私は思っています。完璧な職場を求めすぎると、何度転職しても「まだ足りない」になってしまいます。

転職回数が多いことへの不安については、こちらの記事でも触れています。

まとめ

転職で後悔しないために、一番大切なのは「自分にとっての失敗が何か」を先に整理しておくことだと思います。

年収を守ることが最優先なのか、人間関係をリセットしたいのか、体への負担を減らしたいのか。優先したいものが明確であれば、転職後に「こんなはずじゃなかった」になりにくい。

そして、十分に悩むことを省略しないこと。どんなに時間がかかっても、自分が「もういい、行こう」と思えるまで悩むことは、むしろ必要なプロセスだと思います。散々悩んだ先にある決断は、揺らぎにくい。

転職を具体的に進める段階になったら、転職サービスの活用も一つの手段です。使い方や選び方についてはこちらの記事にまとめています。使わない選択もある、ということは前述の通りです。

転職したいけど踏み出せない方、転職後にもやもやしている方、どちらの気持ちもよくわかります。自分なりのペースで、少しずつ考えてみてください。

ハロのイラスト @salaryman_nurse
WRITTEN BY

ハロ看護師15年

ICU 1年 → 精神科身体合併症 12年 → 地域包括ケア

「向いてないなあ」と15年目の今も思いながら、不器用に、一生懸命、働いています。

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