3年悩んだ看護師が語る転職失敗5パターン|15年目の後悔と転職後のリアル
転職で「失敗した」と感じた瞬間、面接で聞けなかった後悔、転職後に変わったこと・変わらなかったこと。看護師15年目の正直な体験談です。
目次
- 看護師の転職で「失敗した」と感じる5つのパターン
- 情報収集が足りないまま決めてしまう
- 給料の内訳を確認しなかった
- 人間関係のリセットを期待しすぎる
- 焦って決めてしまう
- 求人票・面接と実態が違う
- 「面接で聞けばよかった」は正論だけど、現実は違う
- 転職後のリアル——変わったこと・変わらなかったこと
- 変わらなかったもの
- 変わって良かったこと
- 転職の意味は何だったのか
- 失敗しても「なんとかなる」と知っておいてほしい
- 焦りが生んだ「雑な選択」と、それでも前に進んだこと
- 動かなければ分からなかったこと
- 看護師だから「致命的な失敗」になりにくい
- 自力で転職してみた振り返り
- まとめ
- よくある質問
- 看護師が転職で失敗したと感じたら、まず何をすべきですか?
- 看護師は転職回数が多いと不利になりますか?
転職したら後悔するだろうか、と3年間悩んでいました。
師長との折り合いが悪くなったのは、新しい師長が来てからのことです。意見を出すと必ず否定される。他のスタッフには同じようにしないのに、人前で自分だけ大声で叱られる。「ここにいることがしんどい」という気持ちは、朝布団から起きられないほどになっていました。
それでも3年間、辞めると言い出せなかった。次の職場でちゃんとやっていける自信がなかったから。友人に話を聞いてもらい続けて、「やめても大丈夫、次でもできる」という言葉でやっと動けるようになりました。
転職してみて分かったこと。失敗したと感じる瞬間は確かにありました。でも「致命的な失敗」ではなかった。そして、転職しなければ知れなかった自分の感覚があります。
この記事は、看護師歴15年目の自分が経験した転職の、正直な話です。失敗パターンも、面接で聞けなかった後悔も、転職後に変わったこと・変わらなかったことも、できるだけそのまま書きます。
看護師の転職で「失敗した」と感じる5つのパターン
日本看護協会の「病院看護実態調査」によると、看護師の離職率(既卒)は例年10〜12%台で推移しています。それだけ多くの看護師が転職を経験しているということです。そして、転職は必ずしも期待通りにはならない。失敗のパターンを事前に知っておくことが、多少は助けになるかもしれません。
自分の体験と、周囲の話から見えてきた5つのパターンをまとめました。
情報収集が足りないまま決めてしまう
求人票に書いてあることと、実際の職場は違うことがあります。これは多くの人が経験することだと思います。
自分の場合、入職して1ヶ月ほど経ったとき、これを実感しました。「勤務時間内に仕事を終わらせろ」という圧はあるのに、実際の業務量は勤務時間内に終わるものではない。それだけならまだ想定の範囲です。驚いたのは打刻のルールでした。
退勤時にタイムカードを入れないといけない時刻がある。でも早く出勤しても、勤務開始10分前になるまで打刻してはいけないというルールがあった。サービス残業を構造的に強いる仕組みが、最初から組み込まれていたわけです。
「さすがにこれは入職しないとわからないことだ」と思って、あきらめました。
求人票には当然書いていないし、見学のタイミングで気づくのも難しい。こういうローカルルールの存在は、内部に入るまで見えないのが現実です。
転職で後悔しないためにどういう点を確認すべきか、気になる方はこちらの記事も参考にしてみてください。
→ 看護師の転職で後悔しないために
給料の内訳を確認しなかった
「年収がいくら」という数字だけを見て転職先を決めると、手取りが想定より少なかったということが起きます。
看護師の給料は、夜勤手当・残業手当の影響を受ける部分が大きい。厚労省「賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収はおおむね450〜500万円台ですが、この数字には夜勤手当が含まれています。夜勤手当・残業手当を除いた基本給だけを見ると、かなり印象が変わります。
自分が転職するときの決め手のひとつは「収入を下げない」ことでした。収入面だけは妥協したくなかった。だから年収の確認には気をつけたつもりですが、それでも基本給の内訳まで細かく見たかというと、完全ではありませんでした。
夜勤回数が変われば、手取りは変わります。転職先で夜勤の回数や手当の金額を確認しておかないと、後から「思ったより少ない」という話になります。
人間関係のリセットを期待しすぎる
転職で人間関係をリセットできる——そう思って転職する方は多いと思います。自分もそれが動機のひとつでした。
ただ、転職後の自分の感想を正直に言うと、「患者対応の大変さ、人間関係のめんどくささ、は変わらないね」というものです。
師長との折り合いの悪さからは解放されました。それは大きかった。でも人間関係のめんどくささ自体がなくなったかというと、そうではない。新しい職場でも人間関係の難しさはある。患者対応のしんどさも、変わっていない。
厚労省「衛生行政報告例」によると、男性看護師は看護師全体の約8%です。女性が多数を占める職場で男性が一人という状況は、転職先でも変わりませんでした。朝の申し送りで「ずらーっと女性が並んでいる中に、男が自分ひとり」という光景は、前の病院でも今の病院でも同じです。「小言を言える人がいない」という感覚は、転職しても解決しませんでした。
転職は「人間関係の完全なリセット」ではありません。職場が変わることで変わることと、変わらないことがある。この区別を持っておくと、期待のズレが少なくなるかもしれません。
焦って決めてしまう
退職を先に決めてから転職先を探すと、時間的なプレッシャーで判断が鈍ることがあります。
自分の場合、転職先を決めずに退職しました。もともと1年ほどのんびりするつもりだったのですが、ちょうど結婚・入籍前のタイミングと重なって、「仕事していないことへの不安」が出てきてしまいました。
焦って動いた自覚はあります。「あのプレッシャーがなければ、もっと慎重に選んでいた」と今でも思います。応募したのは1件だけ。病院見学に行って「明らかに嫌だと思う部分がなかったから」応募を決めた、という消去法的な判断でした。
結果として大きな失敗にはならなかったのですが、焦りが判断を単純にしてしまったのは事実です。
人生の大きな出来事と転職が重なるとき——結婚、出産、親の介護——は特に焦りやすい。「今すぐ動かなければ」という感覚があるとき、少し立ち止まれるかどうかが、転職の質を左右することがあります。
初めての転職で何を確認すべきか気になる方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
→ 看護師の初めての転職で気をつけたいこと
転職先を決めるときの志望動機について悩んだ方は、こちらも参考にしてみてください。
→ 看護師転職の志望動機、どう考えるか
求人票・面接と実態が違う
前に書いた打刻ルールの話と重なりますが、求人票や面接では見えてこない「実態」があります。
残業がある、業務量が多い、それ自体は多くの病院で共通しているかもしれません。ただ、その程度や、それを構造的に強いる仕組みがあるかどうかは、外からは分かりにくい。
「面接で確認すればよかった」というアドバイスは、転職失敗を扱う記事にはよく書いてあります。それはそうだと思います。でも、次の見出しで書くように、現実はそう単純ではなかった。
「面接で聞けばよかった」は正論だけど、現実は違う
転職の失敗を防ぐ方法として、多くの記事に書いてあるのが「面接で残業や職場の雰囲気について確認しましょう」というアドバイスです。正論だと思います。
ただ、自分の本音を言うと、「残業や業務量について聞いたほうがいいと思うけど、相手も的確な答えを返してくれるわけでないし、きくにも勇気がいることだから、私はそんなことを質問できない」というのが正直なところです。
2つの現実があります。
ひとつは、「聞く勇気がいる」ということ。採用してもらいたい面接の場で、「残業はどれくらいありますか」「サービス残業はありますか」と聞くのには、かなりの勇気がいる。言い方によっては「この人は残業を嫌がるのか」と思われるかもしれない。そういう不安が頭に浮かぶと、なかなか聞けない。
もうひとつは、「正直に答えてもらえるとは限らない」ということ。仮に勇気を出して聞いたとしても、採用側が本当のことを教えてくれるかは別問題です。「残業は少ないですよ」と言いながら、実態は違う——そういうことが起きるのが、転職あるあるです。
「聞けばよかった」と思う気持ちは、今も少しあります。でも聞けなかった自分を責めることはしていません。聞けない人間だということも、聞いても正直な答えが返るとは限らないことも、どちらも現実だから。
転職失敗の対策として「面接で聞きましょう」と書く記事は多いけれど、そこには「聞けない人間もいる」「聞いても本当のことが出るとは限らない」という視点が、あまり入っていない。そう感じています。
転職後のリアル——変わったこと・変わらなかったこと
転職した後、実際にどうなったのか。上位に出てくる転職記事の多くは「失敗しないためのアドバイス」に終始していて、転職した後のことをほとんど書いていません。でも実際に転職した人が知りたいのは「その後どうなったのか」だと思うので、正直に書きます。
変わらなかったもの
「患者対応の大変さ、人間関係のめんどくささ、は変わらないね」というのが、転職後の率直な感想です。
前の職場では精神科に12年いました。現在は地域包括ケア病棟です。患者層も職場環境も違います。でも、患者対応がしんどいということ、人間関係に面倒さがあること——この2つは、変わりませんでした。
「転職すれば人間関係が一新される」「別の職場に行けば楽になる」という期待は、半分は当たって、半分は外れた、という感じです。
男性看護師一人という状況も変わっていません。朝の申し送りで「ずらーっと女性が並んでいる中に、男が自分ひとり」という感覚は今の職場でも同じです。「小言を言える人がいない」「ちょっとした愚痴を話できる人がいない」という状況は、転職しても解決しませんでした。
消耗がなくなったわけでもありません。精神科では患者に共感して消耗することが多かった。今の職場では「振り回されての消耗」があります。理由のないナースコール、無謀な要求への対応。消耗の種類が変わっただけで、消耗自体はなくなっていない。
変わって良かったこと
「転職して良かったことは何ですか」と聞かれたら、即答できます。「給与が上がった」。それが一番大きかった。
やりがいが見つかった、とか、職場環境が劇的に改善した、とか——そういう綺麗な話ではなく、「給与が上がった」という現実的な話です。収入を下げたくなかったので転職先を選んだということもあって、これは素直に良かったと思っています。
そのほかに変わったこと。まず、前の師長との折り合いの悪さによる悩みから解放されたこと。これは「一番大きい変化」かもしれません。朝布団から起きられなかったあの頃のしんどさが、なくなった。
通勤が楽になりました。残業も減りました。「年収はほぼ同じだけど、使える時間が増えた」という変化がある。転職を通じて得たのは、年収ではなく「消耗が減った分の余白」だったかもしれません。
新しい職場での独り立ちも、思っていたより早かった。転職前の一番の不安は「次の職場でやっていけるのか」でしたが、「分からないことは勉強する、分からないことは確認する」でなんとかやってこられています。
転職の意味は何だったのか
完璧な転職ではありませんでした。入職1ヶ月で打刻ルールの理不尽に気づいてあきらめたことも、人間関係のめんどくささが変わらなかったことも、事実です。
でも、動いたことに後悔はしていません。「なんとかなる」という実感が、今は手元にあります。
転職前の3年間、「辞めて別の場所でやっていけるのか」が一番しんどい問いでした。転職して、「やっていける」ということが分かった。それは、転職しなければ知れなかったことです。
失敗しても「なんとかなる」と知っておいてほしい
転職で失敗することへの怖さは、自分もありました。「失敗したらどうしよう」と3年間悩んで、動けずにいました。
でも振り返ると、「失敗したと感じた部分」はありつつも、致命的な失敗にはなりませんでした。「職場が変わってもなんとかなる」というのが、転職後の正直な実感です。
焦りが生んだ「雑な選択」と、それでも前に進んだこと
入籍前のプレッシャーがなければ、もっと慎重に選んでいた——今もそう思います。でも当時の自分の状況をもう少し正直に話すと、焦りは最初から分かっていたわけではなく、気づかないうちに積み重なっていた、という感じでした。
転職先を決めずに退職した。もともとはゆっくり1年ほど過ごすつもりでした。でも「結婚するとなると、仕事していないことへの不安」が自分の中に出てきた。社会とのつながりがなくなった感覚、というか。「家族や友人はいるけど、何かが足りない」という状態でした。
その焦りが判断を単純にしました。応募したのは1件だけ。見学に行って「明らかに嫌だと思う部分がなかったから」という消去法で決めた。「ここに行きたい」ではなく「ここでいいかな」という感覚での転職でした。
「あのプレッシャーがなければ、もっとゆっくり複数の病院を見比べていたと思います。慎重に選べていた」というのは本音です。でも同時に思うことがあります——あの焦りがあったから、動けた、という側面もある。
「完璧な条件が整ってから動こう」と思っていると、どこまで待っても条件が整わないまま、ということになりかねない。自分がそうでした。3年間、「整ってから動こう」と思い続けて、動けないままだった。
焦りが背中を押したのは事実です。焦りで判断が雑になったのも事実。どちらも本当のことで、どちらかだけが正解ではありませんでした。
動かなければ分からなかったこと
転職してみて初めて気づいたことがあります。動かなければ、それが分からないままだった。
たとえば給与が上がったこと。転職しなければ、今の病院の給与水準は知れなかった。動いたから、「自分の市場価値はここくらいにある」という感覚が得られました。
転職しなければ、「辞めて別の場所でやっていけるのか」という問いへの答えを、ずっと知れないままでした。「やっていける」と分かったのは、実際にやってみたからです。知識として「大丈夫だ」と思うことと、体験として「なんとかなった」と実感することは、全然違う。
今の職場は完璧ではありません。打刻ルールの理不尽はあった。人間関係のめんどくささは変わらなかった。でも地域包括ケア病棟で今も続けられている、という事実があります。「なんとかなる」というのは楽観論ではなく、やってみた後の実感です。
看護師だから「致命的な失敗」になりにくい
もう一つ、事実として知っておいてほしいことがあります。
看護師は慢性的な人手不足の状況が続いています。仮に転職して「思ったようにいかなかった」としても、次の選択肢がある。自分が感じたように「看護師はどこに行っても人手不足だから、採用はどこかで通る」という現実があります。
「失敗したら終わり」ではありません。転職という行動を選んでも、もう一度選び直せる。致命的にはなりにくい職種の中で働いている、ということは、転職を怖がっているときに知っておいて損はないと思っています。
退職を申し出たとき、引き止められた経験がある方は、こちらの記事も読んでみてください。
→ 退職を引き止められたときの対処
過去の自分に言えるとすれば、「早く行動してもよかった」ということです。「行動せんとなんも変わらないよ」というのが、今の自分の言葉です。
自力で転職してみた振り返り
自分は転職サービス(エージェント)を使わずに転職しました。
転職サービスの存在自体は知っていました。友人が転職するときにエージェントを使っていたから。でも、友人と遊んでいるときに担当者からLINEや電話がひっきりなしに来ているのを見て、「人と話するのが苦手な自分にとっては手間だな」と感じて、使わない方向にしました。
実際の転職活動はシンプルで、病院のサイトを直接見て、良さそうだと思った病院に1件だけ応募しました。見学に行って、「明らかに嫌だと思う部分がなかった」ことを確認して、応募を決めた。志望動機は、病院サイトで共感できる部分を探して作りました。
振り返って、「エージェントを使えばよかった」とは思いません。ただ、「ゆっくり時間をかけて複数の病院を比較しながら探したいなら、使ってもよかった」とは思います。
自力で転職する場合、職場の内情に関する情報は求人票やサイトからしか得られない。エージェントなら担当者に「実際の雰囲気を教えてください」と聞けることもある。そこは自力転職の限界でした。
転職サービスを使うかどうかを迷っている方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
→ 看護師は転職サイトを使うべきか
まとめ
転職で「失敗した」と感じる瞬間は、きっとどこかで来ます。「入職してみないと分からなかった」ことは必ずある。
でも、失敗したら終わりではありません。変わらなかったことも、変わって良かったことも、どちらも本物の経験です。
「完璧な転職」を探し続けて動けないより、不完全でも一歩を踏み出した先の方に、何かがある——自分の経験から、そう感じています。
転職を迷うとき、自分なりの「決断のものさし」を持っておくと、少し楽になるかもしれません。「収入だけは下げない」でも、「残業が今より減ればいい」でも、何か一つ軸があると、消去法的な判断でも動きやすくなる。完璧な基準でなくていい。
あなたはいま、転職を前にして何を一番大切にしたいですか。
よくある質問
看護師が転職で失敗したと感じたら、まず何をすべきですか?
すぐに再転職を考える前に、今の状況が「変えられるもの」と「変えられないもの」に分けて考えてみることが最初の一歩かもしれません。異動願いや勤務形態の変更で改善できることもある。対処の余地がある場合は、試してみる価値はあります。
自分の場合、転職後に打刻ルールの理不尽を知ったとき、「入職しないとわからないことだ」とあきらめました。その判断が正しかったかどうかは分かりませんが、今もその職場でやっています。転職後の状況が「致命的な失敗」かどうかを、まず冷静に判断することが大切だと思っています。看護師は人手不足で次の選択肢がある職種なので、「なんとかなる」という感覚を持っておくことも、精神的な支えになるかもしれません。
看護師は転職回数が多いと不利になりますか?
一般論として、転職回数が多いと採用側から「なじめない人」と見られるリスクはあります。ただ、看護師は慢性的な人手不足の状況が続いているため、他の職種ほど回数による影響を受けにくい傾向があります。
自分の見方では、転職回数より「その場その場での実績、人に示せる結果を作れているか」の方が大事だと思っています。20代のうちは特に、「いろんな職場・価値観を経験できる」という前向きな捉え方もできます。どの職場でも、次につながる何かを積み上げていくことが、長い目で見たときのキャリアを支えるのかもしれません。
ハロ看護師15年
「向いてないなあ」と15年目の今も思いながら、不器用に、一生懸命、働いています。