3年悩んだ看護師が語る転職失敗5パターン|15年目の後悔と転職後のリアル

転職で「失敗した」と感じた瞬間、面接で聞けなかった後悔、転職後に変わったこと・変わらなかったこと。看護師15年目の正直な体験談です。

この記事は 約13分 で読めます
目次
  1. 看護師の転職で「失敗した」と感じる5つのパターン
  2. 情報収集が足りないまま決めてしまう
  3. 給料の内訳を確認しなかった
  4. 人間関係のリセットを期待しすぎる
  5. 焦って決めてしまう
  6. 求人票・面接と実態が違う
  7. 「面接で聞けばよかった」は正論だけど、現実は違う
  8. 転職後のリアル——変わったこと・変わらなかったこと
  9. 変わらなかったもの
  10. 変わって良かったこと
  11. 転職の意味は何だったのか
  12. 失敗しても「なんとかなる」と知っておいてほしい
  13. 焦りが生んだ「雑な選択」と、それでも前に進んだこと
  14. 動かなければ分からなかったこと
  15. 看護師だから「致命的な失敗」になりにくい
  16. 自力で転職してみた振り返り
  17. まとめ
  18. よくある質問
  19. 看護師が転職で失敗したと感じたら、まず何をすべきですか?
  20. 看護師は転職回数が多いと不利になりますか?

転職したら後悔するだろうか、と3年間悩んでいました。

師長との折り合いが悪くなったのは、新しい師長が来てからのことです。意見を出すと必ず否定される。他のスタッフには同じようにしないのに、人前で自分だけ大声で叱られる。「ここにいることがしんどい」という気持ちは、朝布団から起きられないほどになっていました。

それでも3年間、辞めると言い出せなかった。次の職場でちゃんとやっていける自信がなかったから。友人に話を聞いてもらい続けて、「やめても大丈夫、次でもできる」という言葉でやっと動けるようになりました。

転職してみて分かったこと。失敗したと感じる瞬間は確かにありました。でも「致命的な失敗」ではなかった。そして、転職しなければ知れなかった自分の感覚があります。

この記事は、看護師歴15年目の自分が経験した転職の、正直な話です。失敗パターンも、面接で聞けなかった後悔も、転職後に変わったこと・変わらなかったことも、できるだけそのまま書きます。

看護師の転職で「失敗した」と感じる5つのパターン

日本看護協会の「病院看護実態調査」によると、看護師の離職率(既卒)は例年10〜12%台で推移しています。それだけ多くの看護師が転職を経験しているということです。そして、転職は必ずしも期待通りにはならない。失敗のパターンを事前に知っておくことが、多少は助けになるかもしれません。

自分の体験と、周囲の話から見えてきた5つのパターンをまとめました。

情報収集が足りないまま決めてしまう

求人票に書いてあることと、実際の職場は違うことがあります。これは多くの人が経験することだと思います。

自分の場合、入職して1ヶ月ほど経ったとき、これを実感しました。「勤務時間内に仕事を終わらせろ」という圧はあるのに、実際の業務量は勤務時間内に終わるものではない。それだけならまだ想定の範囲です。驚いたのは打刻のルールでした。

退勤時にタイムカードを入れないといけない時刻がある。でも早く出勤しても、勤務開始10分前になるまで打刻してはいけないというルールがあった。サービス残業を構造的に強いる仕組みが、最初から組み込まれていたわけです。

「さすがにこれは入職しないとわからないことだ」と思って、あきらめました。

求人票には当然書いていないし、見学のタイミングで気づくのも難しい。こういうローカルルールの存在は、内部に入るまで見えないのが現実です。

転職で後悔しないためにどういう点を確認すべきか、気になる方はこちらの記事も参考にしてみてください。
看護師の転職で後悔しないために

給料の内訳を確認しなかった

「年収がいくら」という数字だけを見て転職先を決めると、手取りが想定より少なかったということが起きます。

看護師の給料は、夜勤手当・残業手当の影響を受ける部分が大きい。厚労省「賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収はおおむね450〜500万円台ですが、この数字には夜勤手当が含まれています。夜勤手当・残業手当を除いた基本給だけを見ると、かなり印象が変わります。

自分が転職するときの決め手のひとつは「収入を下げない」ことでした。収入面だけは妥協したくなかった。だから年収の確認には気をつけたつもりですが、それでも基本給の内訳まで細かく見たかというと、完全ではありませんでした。

夜勤回数が変われば、手取りは変わります。転職先で夜勤の回数や手当の金額を確認しておかないと、後から「思ったより少ない」という話になります。

人間関係のリセットを期待しすぎる

転職で人間関係をリセットできる——そう思って転職する方は多いと思います。自分もそれが動機のひとつでした。

ただ、転職後の自分の感想を正直に言うと、「患者対応の大変さ、人間関係のめんどくささ、は変わらないね」というものです。

師長との折り合いの悪さからは解放されました。それは大きかった。でも人間関係のめんどくささ自体がなくなったかというと、そうではない。新しい職場でも人間関係の難しさはある。患者対応のしんどさも、変わっていない。

厚労省「衛生行政報告例」によると、男性看護師は看護師全体の約8%です。女性が多数を占める職場で男性が一人という状況は、転職先でも変わりませんでした。朝の申し送りで「ずらーっと女性が並んでいる中に、男が自分ひとり」という光景は、前の病院でも今の病院でも同じです。「小言を言える人がいない」という感覚は、転職しても解決しませんでした。

転職は「人間関係の完全なリセット」ではありません。職場が変わることで変わることと、変わらないことがある。この区別を持っておくと、期待のズレが少なくなるかもしれません。

焦って決めてしまう

退職を先に決めてから転職先を探すと、時間的なプレッシャーで判断が鈍ることがあります。

自分の場合、転職先を決めずに退職しました。もともと1年ほどのんびりするつもりだったのですが、ちょうど結婚・入籍前のタイミングと重なって、「仕事していないことへの不安」が出てきてしまいました。

焦って動いた自覚はあります。「あのプレッシャーがなければ、もっと慎重に選んでいた」と今でも思います。応募したのは1件だけ。病院見学に行って「明らかに嫌だと思う部分がなかったから」応募を決めた、という消去法的な判断でした。

結果として大きな失敗にはならなかったのですが、焦りが判断を単純にしてしまったのは事実です。

人生の大きな出来事と転職が重なるとき——結婚、出産、親の介護——は特に焦りやすい。「今すぐ動かなければ」という感覚があるとき、少し立ち止まれるかどうかが、転職の質を左右することがあります。

初めての転職で何を確認すべきか気になる方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
看護師の初めての転職で気をつけたいこと

転職先を決めるときの志望動機について悩んだ方は、こちらも参考にしてみてください。
看護師転職の志望動機、どう考えるか

求人票・面接と実態が違う

前に書いた打刻ルールの話と重なりますが、求人票や面接では見えてこない「実態」があります。

残業がある、業務量が多い、それ自体は多くの病院で共通しているかもしれません。ただ、その程度や、それを構造的に強いる仕組みがあるかどうかは、外からは分かりにくい。

「面接で確認すればよかった」というアドバイスは、転職失敗を扱う記事にはよく書いてあります。それはそうだと思います。でも、次の見出しで書くように、現実はそう単純ではなかった。

「面接で聞けばよかった」は正論だけど、現実は違う

転職の失敗を防ぐ方法として、多くの記事に書いてあるのが「面接で残業や職場の雰囲気について確認しましょう」というアドバイスです。正論だと思います。

ただ、自分の本音を言うと、「残業や業務量について聞いたほうがいいと思うけど、相手も的確な答えを返してくれるわけでないし、きくにも勇気がいることだから、私はそんなことを質問できない」というのが正直なところです。

2つの現実があります。

ひとつは、「聞く勇気がいる」ということ。採用してもらいたい面接の場で、「残業はどれくらいありますか」「サービス残業はありますか」と聞くのには、かなりの勇気がいる。言い方によっては「この人は残業を嫌がるのか」と思われるかもしれない。そういう不安が頭に浮かぶと、なかなか聞けない。

もうひとつは、「正直に答えてもらえるとは限らない」ということ。仮に勇気を出して聞いたとしても、採用側が本当のことを教えてくれるかは別問題です。「残業は少ないですよ」と言いながら、実態は違う——そういうことが起きるのが、転職あるあるです。

「聞けばよかった」と思う気持ちは、今も少しあります。でも聞けなかった自分を責めることはしていません。聞けない人間だということも、聞いても正直な答えが返るとは限らないことも、どちらも現実だから。

転職失敗の対策として「面接で聞きましょう」と書く記事は多いけれど、そこには「聞けない人間もいる」「聞いても本当のことが出るとは限らない」という視点が、あまり入っていない。そう感じています。

転職後のリアル——変わったこと・変わらなかったこと

転職した後、実際にどうなったのか。上位に出てくる転職記事の多くは「失敗しないためのアドバイス」に終始していて、転職した後のことをほとんど書いていません。でも実際に転職した人が知りたいのは「その後どうなったのか」だと思うので、正直に書きます。

変わらなかったもの

「患者対応の大変さ、人間関係のめんどくささ、は変わらないね」というのが、転職後の率直な感想です。

前の職場では精神科に12年いました。現在は地域包括ケア病棟です。患者層も職場環境も違います。でも、患者対応がしんどいということ、人間関係に面倒さがあること——この2つは、変わりませんでした。

「転職すれば人間関係が一新される」「別の職場に行けば楽になる」という期待は、半分は当たって、半分は外れた、という感じです。

男性看護師一人という状況も変わっていません。朝の申し送りで「ずらーっと女性が並んでいる中に、男が自分ひとり」という感覚は今の職場でも同じです。「小言を言える人がいない」「ちょっとした愚痴を話できる人がいない」という状況は、転職しても解決しませんでした。

消耗がなくなったわけでもありません。精神科では患者に共感して消耗することが多かった。今の職場では「振り回されての消耗」があります。理由のないナースコール、無謀な要求への対応。消耗の種類が変わっただけで、消耗自体はなくなっていない。

変わって良かったこと

「転職して良かったことは何ですか」と聞かれたら、即答できます。「給与が上がった」。それが一番大きかった。

やりがいが見つかった、とか、職場環境が劇的に改善した、とか——そういう綺麗な話ではなく、「給与が上がった」という現実的な話です。収入を下げたくなかったので転職先を選んだということもあって、これは素直に良かったと思っています。

そのほかに変わったこと。まず、前の師長との折り合いの悪さによる悩みから解放されたこと。これは「一番大きい変化」かもしれません。朝布団から起きられなかったあの頃のしんどさが、なくなった。

通勤が楽になりました。残業も減りました。「年収はほぼ同じだけど、使える時間が増えた」という変化がある。転職を通じて得たのは、年収ではなく「消耗が減った分の余白」だったかもしれません。

新しい職場での独り立ちも、思っていたより早かった。転職前の一番の不安は「次の職場でやっていけるのか」でしたが、「分からないことは勉強する、分からないことは確認する」でなんとかやってこられています。

転職の意味は何だったのか

完璧な転職ではありませんでした。入職1ヶ月で打刻ルールの理不尽に気づいてあきらめたことも、人間関係のめんどくささが変わらなかったことも、事実です。

でも、動いたことに後悔はしていません。「なんとかなる」という実感が、今は手元にあります。

転職前の3年間、「辞めて別の場所でやっていけるのか」が一番しんどい問いでした。転職して、「やっていける」ということが分かった。それは、転職しなければ知れなかったことです。

失敗しても「なんとかなる」と知っておいてほしい

転職で失敗することへの怖さは、自分もありました。「失敗したらどうしよう」と3年間悩んで、動けずにいました。

でも振り返ると、「失敗したと感じた部分」はありつつも、致命的な失敗にはなりませんでした。「職場が変わってもなんとかなる」というのが、転職後の正直な実感です。

焦りが生んだ「雑な選択」と、それでも前に進んだこと

入籍前のプレッシャーがなければ、もっと慎重に選んでいた——今もそう思います。でも当時の自分の状況をもう少し正直に話すと、焦りは最初から分かっていたわけではなく、気づかないうちに積み重なっていた、という感じでした。

転職先を決めずに退職した。もともとはゆっくり1年ほど過ごすつもりでした。でも「結婚するとなると、仕事していないことへの不安」が自分の中に出てきた。社会とのつながりがなくなった感覚、というか。「家族や友人はいるけど、何かが足りない」という状態でした。

その焦りが判断を単純にしました。応募したのは1件だけ。見学に行って「明らかに嫌だと思う部分がなかったから」という消去法で決めた。「ここに行きたい」ではなく「ここでいいかな」という感覚での転職でした。

「あのプレッシャーがなければ、もっとゆっくり複数の病院を見比べていたと思います。慎重に選べていた」というのは本音です。でも同時に思うことがあります——あの焦りがあったから、動けた、という側面もある。

「完璧な条件が整ってから動こう」と思っていると、どこまで待っても条件が整わないまま、ということになりかねない。自分がそうでした。3年間、「整ってから動こう」と思い続けて、動けないままだった。

焦りが背中を押したのは事実です。焦りで判断が雑になったのも事実。どちらも本当のことで、どちらかだけが正解ではありませんでした。

動かなければ分からなかったこと

転職してみて初めて気づいたことがあります。動かなければ、それが分からないままだった。

たとえば給与が上がったこと。転職しなければ、今の病院の給与水準は知れなかった。動いたから、「自分の市場価値はここくらいにある」という感覚が得られました。

転職しなければ、「辞めて別の場所でやっていけるのか」という問いへの答えを、ずっと知れないままでした。「やっていける」と分かったのは、実際にやってみたからです。知識として「大丈夫だ」と思うことと、体験として「なんとかなった」と実感することは、全然違う。

今の職場は完璧ではありません。打刻ルールの理不尽はあった。人間関係のめんどくささは変わらなかった。でも地域包括ケア病棟で今も続けられている、という事実があります。「なんとかなる」というのは楽観論ではなく、やってみた後の実感です。

看護師だから「致命的な失敗」になりにくい

もう一つ、事実として知っておいてほしいことがあります。

看護師は慢性的な人手不足の状況が続いています。仮に転職して「思ったようにいかなかった」としても、次の選択肢がある。自分が感じたように「看護師はどこに行っても人手不足だから、採用はどこかで通る」という現実があります。

「失敗したら終わり」ではありません。転職という行動を選んでも、もう一度選び直せる。致命的にはなりにくい職種の中で働いている、ということは、転職を怖がっているときに知っておいて損はないと思っています。

退職を申し出たとき、引き止められた経験がある方は、こちらの記事も読んでみてください。
退職を引き止められたときの対処

過去の自分に言えるとすれば、「早く行動してもよかった」ということです。「行動せんとなんも変わらないよ」というのが、今の自分の言葉です。

自力で転職してみた振り返り

自分は転職サービス(エージェント)を使わずに転職しました。

転職サービスの存在自体は知っていました。友人が転職するときにエージェントを使っていたから。でも、友人と遊んでいるときに担当者からLINEや電話がひっきりなしに来ているのを見て、「人と話するのが苦手な自分にとっては手間だな」と感じて、使わない方向にしました。

実際の転職活動はシンプルで、病院のサイトを直接見て、良さそうだと思った病院に1件だけ応募しました。見学に行って、「明らかに嫌だと思う部分がなかった」ことを確認して、応募を決めた。志望動機は、病院サイトで共感できる部分を探して作りました。

振り返って、「エージェントを使えばよかった」とは思いません。ただ、「ゆっくり時間をかけて複数の病院を比較しながら探したいなら、使ってもよかった」とは思います。

自力で転職する場合、職場の内情に関する情報は求人票やサイトからしか得られない。エージェントなら担当者に「実際の雰囲気を教えてください」と聞けることもある。そこは自力転職の限界でした。

転職サービスを使うかどうかを迷っている方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
看護師は転職サイトを使うべきか

まとめ

転職で「失敗した」と感じる瞬間は、きっとどこかで来ます。「入職してみないと分からなかった」ことは必ずある。

でも、失敗したら終わりではありません。変わらなかったことも、変わって良かったことも、どちらも本物の経験です。

「完璧な転職」を探し続けて動けないより、不完全でも一歩を踏み出した先の方に、何かがある——自分の経験から、そう感じています。

転職を迷うとき、自分なりの「決断のものさし」を持っておくと、少し楽になるかもしれません。「収入だけは下げない」でも、「残業が今より減ればいい」でも、何か一つ軸があると、消去法的な判断でも動きやすくなる。完璧な基準でなくていい。

あなたはいま、転職を前にして何を一番大切にしたいですか。

よくある質問

看護師が転職で失敗したと感じたら、まず何をすべきですか?

すぐに再転職を考える前に、今の状況が「変えられるもの」と「変えられないもの」に分けて考えてみることが最初の一歩かもしれません。異動願いや勤務形態の変更で改善できることもある。対処の余地がある場合は、試してみる価値はあります。

自分の場合、転職後に打刻ルールの理不尽を知ったとき、「入職しないとわからないことだ」とあきらめました。その判断が正しかったかどうかは分かりませんが、今もその職場でやっています。転職後の状況が「致命的な失敗」かどうかを、まず冷静に判断することが大切だと思っています。看護師は人手不足で次の選択肢がある職種なので、「なんとかなる」という感覚を持っておくことも、精神的な支えになるかもしれません。

看護師は転職回数が多いと不利になりますか?

一般論として、転職回数が多いと採用側から「なじめない人」と見られるリスクはあります。ただ、看護師は慢性的な人手不足の状況が続いているため、他の職種ほど回数による影響を受けにくい傾向があります。

自分の見方では、転職回数より「その場その場での実績、人に示せる結果を作れているか」の方が大事だと思っています。20代のうちは特に、「いろんな職場・価値観を経験できる」という前向きな捉え方もできます。どの職場でも、次につながる何かを積み上げていくことが、長い目で見たときのキャリアを支えるのかもしれません。

ハロのイラスト @salaryman_nurse
WRITTEN BY

ハロ看護師15年

ICU 1年 → 精神科身体合併症 12年 → 地域包括ケア

「向いてないなあ」と15年目の今も思いながら、不器用に、一生懸命、働いています。

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