内科看護

精神機能とは?精神機能の1つ【思考】について

こんにちは!ハロです!!
私は10年以上、精神科・身体合併症病棟で働く看護師をしています!!
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「患者さんの精神状態が悪いけど、記録になんて書けばいいかわからない」
「精神状態のアセスメントってどうやってするの?」

病棟で働いていると、自分が働く科に関する疾患や治療については勉強しますが、精神的なことを勉強する機会はあまりありません。
しかし今、既往に認知症や精神疾患を患っている患者が増えてきているため、身体状態のアセスメントだけでなく、精神状態のアセスメントも求められています。
そして患者の精神状態をアセスメントする上で『精神機能』の理解が必要不可欠です。

精神機能とは『意識』『思考』『知能』『感情』などの要素が働き、まとめ作用します。
それぞれの要素は一つ一つ独自に働き、相互に関係し合っています。
精神機能の要素を理解すれば、患者の精神状態がどうなっているのかを言語化し、精神状態が悪いのかどうかを判断できるようになります。

今日は精神機能の1つである『思考』についてお話します。

精神機能について理解すれば、精神症状がある患者の精神で起こっていることが理解できるようになり、どのような看護をすればいいのか考えやすくなります。

精神機能 『思考』とは?


思考とは考えや思いを巡らせることです。
知覚した情報と自分の記憶とすり合わせを行い判断・推論し、分析することで得た情報に対する意味合いを見出すことです。

とても難しいですね。

例えば、道端を歩いていて前から歩いてきた人に気づいたとします。
その人を見て「男性」「身長は高い」「見たことがある顔」と情報を得ました。
見た情報から自分の記憶とをすり合わせ分析し、「父親」と判断をします。
この一連の過程が思考になります。

精神機能 思考 思考障害の3つの分類

精神機能の思考が障害されると『思考障害』です。
思考障害は3つに分類して考えます。

  • 思考過程の障害
  • 思考体験の障害
  • 思考内容の障害

1つずつ説明します。

思考過程の障害

思考過程とは思考の流れ道筋であり、思考障害とは思考の流れが障害された状態です。
上記の例で言うと得た情報から『父親』と判断できず、考えがとまったり、全く異なる判断をすることを指します。
 
 思考制止 「考えが浮かばない」「頭の働きが鈍い」といった状態
 観念奔逸(思考奔逸) 新しい考えを思いつくままに話続ける状態
 思考途絶 話が途中で突然絶えて黙り込んでしまうが、
       しばらくするとまた話し始める状態
 滅裂思考 話の筋がなく、支離滅裂

思考体験の障害

自分が何か行動するとき自分自身で決め能動的に行動を起こします。
「自分で決めて行動している」という能動感を思考体験といいます。

「誰かに操作されている」と能動感が失われた感覚を抱くことを思考体験の障害といいます。

強迫観念 ある考えが不合理と分かっていても、繰り返し心に浮かんで振り払うことができない思考
作為思考(作為体験 させられ体験) 自分の考えや行動が他者からさせられるという体験

思考内容の障害

思考内容の障害とは頭の中にふと浮かびあった内容が、不確実・あり得ない内容であるにも関わらず、訂正ができない状態です。
「私は神様」と思ってしまたら、いくら他から否定されても修正がききません。

 妄想 明らかに誤った考えであるのに本人はそれは正しいと確信する訂正不能な思考
 
 妄想の2種類の分類
  一次妄想 突然発生し確信させる
  二次妄想 妄想の発生過程が心理的に了解できる
       例)実際にサラ金をして借金。街中の人に追われているという妄想をもつ
 
 二次妄想以外は一次妄想です。妄想と幻覚は内容的に区別しづらいのが難点です。

精神機能 思考においてよくみられる症状とは

妄想は臨床現場においてよく現れる精神症状の1つです。
妄想があることも問題ですが、注意すべきは妄想に影響されて患者が予測不能な行動をする場合があります。
そのため妄想の有無を判断するとともに、患者が危険な行動を取らないか考える必要があります。
また妄想があっても表明的には症状が分からず、内在していることもあり判断が難しいです。
その場合は、患者の話を注意深く聞き判断する必要があります。

患者の精神状態を観察するとき精神機能の『思考』が障害されていないかみてみましょう。
そうすれば、今以上に患者の状態が理解できるはずです。

思考は他の精神機能である意識、記憶、知覚などの影響を受けます。
思考の状態を評価するにあたって他の精神機能も併せて評価することも必要になります。

精神状態をアセスメントする看護技術としてMSE(メンタルステータスイグザミネーション)という看護技術があります。
MSEは患者の精神状態を把握し、どのような看護を提供するのか導くための看護技術です。
MSEを学ぶなら『他科に誇れる精神科看護の専門技術 メンタルステータスイグザミネーション著:武藤敦志』がオススメです。
本書は患者理解から看護までを導ける技術書であり、精神を学ぶ看護師としては必ず持っておくべき本です。

日々、患者と接していると「患者の様子が昨日と違う」と違和感を感じることがあります。
MSEの技術を身につけると「昨日と比べ患者は体動が激しく焦燥感が強いな。それに、刺激に対して過敏に反応して注意が散漫」というように、患者から感じた違和感を専門用語を用いて言語化できます。

また看護記録を書こうとしても、「これってなんという精神症状なのだろう」「専門用語でどう言い表したらいいのかな」と悩むことがあります。
そんな時、本書には『逆引き用語』集がついており、用語書が役立ちます!!
例えば
「同じ動作をずっと繰り返しているな」と患者の様子から思ったら、本書を調べると『常用行為』という専門用語を見つけられます。
各用語の定義や解説も書き加えられており、とても親切な本になっています。

私も今MSEについて勉強中ですが、患者の精神状態を専門用語を用いてアセスメントできるようなりました。
精神状態をアセスメントするにはMSEの技術はとても便利です。そしてMSEを学ぶには本書以外にオススメできる本がありません!

MSEに興味がある、精神状態をアセスメントできるようになりたいという方は下記リンクをから本書を購入し学びを深めてください。

精神機能についての理解を深めれば、患者の精神状態のアセスメントに自信を持てるようになります。

自分らしい看護師になるためには、自分に自信を持つことが大切です。

これからも『自分らしい看護師』になるために必要な知識や考え方をお伝えします!

最後まで読んで頂きありがとうございます。


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