看護師を辞めたいのに言えない。3年間言えなかった私が思うこと

看護師を辞めたいのに言えない。上司が怖い、人手不足で申し訳ない、引き止めが怖い——3年間言えなかった経験者が、言えない理由の整理から退職の伝え方、言えた後の日常までを正直に書きます。

病棟の廊下で立ち止まり、少し俯いている男性看護師の横顔
この記事は 約8分 で読めます
目次
  1. 辞めたいのに言えないのは、あなたが真面目だからだと思う
  2. 言えない理由を整理する
  3. 言えないまま働き続けるとどうなるか
  4. 退職を切り出すときの伝え方
  5. どうしても言えないなら、無理に言わなくてもいい
  6. 「言えた」あとのこと
  7. まとめ:悩みなく、楽しく働ける日のために
  8. ハロ看護師15年

辞めたいという気持ちは、もうずっとある。

でも言えない。言い出せないまま、今日も出勤する。そういう日が続いている方が、たくさんいると思います。

自分もそうでした。3年間、言えませんでした。毎日ではないけれど、ふとした瞬間に「辞めたい」が頭をよぎって、でも口には出せなくて。それを友達への愚痴でなんとか発散しながら、働き続けていました。

日本看護協会の調査によると、新卒看護師の離職率は毎年7〜8%台で推移しています。毎年、多くの看護師が職場を離れる選択をしています。ただ、その数字の裏側には「言いたくても言えなかった」時間がある。その期間のことを、この記事では書こうと思います。

言えないことが、恥ずかしいわけじゃない。そう思ってもらえたらと思って、この記事を書きます。

辞めたいのに言えないのは、あなたが真面目だからだと思う

「辞めたい」と思いながら言えないでいる人は、たいてい責任感が強い人です。

患者さんのこと、同僚のこと、病棟のこと。「自分が抜けたらどうなるか」が頭に浮かぶから、言い出せない。自分のことより先に、周りへの影響を考えてしまう。これは弱さではなく、真面目さの裏返しだと思います。

自分の場合は「次の職場でちゃんと働けるか自信がなかった」というのも大きかったです。新師長が就任して、病棟の雰囲気が変わっていくのを感じながら、辞めたいという気持ちが少しずつたまっていきました。でも一歩が踏み出せなかった。

今振り返ると、あの3年間は「辞めたいと言いたいだけだったのかもしれない」と思うことがあります。たまっていたものを吐き出したいだけで、実際にはまだ決め切れていなかった。そういう時期が長かった気がします。

実は、これと同じことは看護師1年目のころにもありました。ICUに配属されていた1年目のことです。

先輩たちが怖くて、ずっと辞めたいと思っていた時期がありました。先輩によって言うことが違って、何をしても怒られる。がんばっているのに、うまくいかない。あるとき、先輩の男性看護師に人前で首元の襟をつかまれて怒鳴られたことがあります。なぜ怒られたのか、今でもよくわかりません。

誰にも相談できませんでした。怒られた理由が自分の落ち度だと思っていたから、自分の中に抱え込むしかなかった。

でも、辞めなかった。正直に言うと「辞める勇気がなかった」からです。怒られ続けて「仕事ができない自分」という評価を受けていたから、他の職場に行っても通用しないんじゃないかと思っていた。辞めて次に行ける気がしなかった。

「辞めなくてよかった」という話をしたいわけではありません。「他に行く勇気がなかったから残った」——それが正直なところです。

今の自分から見れば、当時の自分は子供だったし、社会性がなかったと思います。先輩に怒鳴られて自分の中で抱え込むのも、誰かに相談するという発想がなかったのも、距離をとって見ればそういうことです。ただ、当時の自分を責めたいわけではありません。あの時はあの時で、精一杯だった。いつか同じように、少し距離をとって振り返れる日が来ると思っています。

言えないことは、準備ができていないということでもある。悪いことじゃないと思っています。

言えない理由を整理する

言えない理由はいくつかのパターンに分かれます。自分がどれに当てはまるか、少し整理してみると、次のステップが見えやすくなります。

上司が怖い

師長やスタッフの顔を思い浮かべると、言い出す気力が落ちる。そういう職場では、「辞めます」と言うこと自体にエネルギーが要ります。人間関係のつらさが辞めたい理由の場合は、職場の人間関係がつらいと感じている方へも参考にしてみてください。

人手不足で申し訳ない

辞めると言ったら残るスタッフに迷惑がかかる。そう思うと言えない。でも、その「申し訳なさ」は職場が作り出した罪悪感でもあります。日本看護協会の調査では新卒看護師の離職率は毎年7〜8%台——人手不足はどの病院でも共通の課題です。あなたが一人で抱える責任ではありません。

引き止めが怖い

先輩が辞めると言ったとき、揉めているのを見た。自分も同じ目に遭うかもと思うと踏み出せない。引き止めへの対処は後の見出しで触れますが、引き止められることへの不安が強い方は看護師の退職を引き止められたとき、自分を守る考え方も読んでみてください。

タイミングが見つからない

師長が忙しそう、今月は人が少ない、異動したばかり——言い出すタイミングが常に「今じゃない」になってしまう。

辞めた後が不安

次の職場が見つかるか。看護師として通用するか。収入が途切れないか。そういった不安が「今は辞めない方がいい」という判断につながっていることもあります。

言えないまま働き続けるとどうなるか

「辞めたいけど言えない」という状態は、じわじわと消耗します。

気づかないうちにモチベーションが落ちて、仕事への集中力がなくなる。ミスが増えてさらに自己嫌悪になる。「早く辞めたい」という思いが強くなるのに、言えないからさらに苦しくなる。この悪循環に入ると、体にも出てきます。

ただ、これを書いているのは「だから早く辞めなさい」と言いたいわけではありません。

「言えない状態が続くのはしんどいことなんだ」と、自分の状態を正直に認めてほしいのです。無理して平気なふりをしなくていい。そのしんどさは本物だと思います。

退職を切り出すときの伝え方

実際に言うとなったとき、どう伝えるかで気持ちの準備が変わります。

「相談」ではなく「報告」として伝える

「辞めることを考えているんですが……」という言い方は、相談になってしまいます。引き止められやすくなるし、自分も揺らぎやすくなる。決意が固まっているなら、「辞めます」と一言で始める方が伝わります。

自分が実際に伝えたのは2024年の8月、診察室でした。一言目は「仕事を辞めます」でした。グダグダ言うより端的に言いたいことを伝えるつもりで臨みました。

引き止めに対しては「辞めることを決めたので」と返しました。一瞬も揺らがなかったです。それまでの3年間で、気持ちが固まっていたから。

パートナーや友人など、職場の外に話せる人を作っておく

自分の場合、パートナーに退職を相談したら「いいよ」と言ってくれました。その一言がとても大きかったです。職場の中にいると「辞めたい」という気持ちが否定されやすい。外にいてくれる人の肯定は、言い出す勇気につながります。

引き止めへの対処:3つのポイント

退職を伝えた後、「休んだら?」「異動したら?」と引き止められることはよくあります。そのときに覚えておいてほしいことが3つあります。

一つ目、決意が固いなら「辞めることを決めたので」と繰り返してください。話し合いの場に引き込まれると、感情的になりやすくなります。一点だけ伝え続ける。

二つ目、感情論にならず、事実として伝えることです。「しんどいです」「決めました」という事実を、静かに伝え続ける。

三つ目、自分の場合は「何を言われても『もうしんどいです』と言い続けるつもりで臨んだ」という気持ちで挑みました。覚悟が決まっていると、引き止めの言葉が意外と流れていきます。

引き止め対処をもっと詳しく知りたい方は、専門の記事があります。

▶ あわせて読みたい:看護師の退職で引き止められたら?対処法と経験者の本音
「どう断るか」が心配な方に。体験をもとに具体的な対処の考え方を書いています。

どうしても言えないなら、無理に言わなくてもいい

退職代行という選択肢があります。

自分は使いませんでした。「自分でさっさと行ってしまおう」と思えたので。でも、使っている人を責めようとは思わないです。

職場に行きたくない。上司に会いたくない。メンタルが追い詰められている。そういう状況の人は、使っていいと思います。自分で言わなくても、退職できる。それは逃げではなく、選択肢のひとつです。

言えないことを、自分で抱えすぎないでください。どんな方法であれ、自分の意思を伝えられれば、それでいい。

▶ あわせて読みたい:看護師の退職代行はあり?使わなかった経験者が判断基準を正直に書く
退職代行の判断基準を整理した記事です。「使うべきか迷っている」方は読んでみてください。

「言えた」あとのこと

言えた後は、意外と普通でした。

罪悪感がなかったのは、正直自分でも少し驚きました。でも考えてみれば、それまでに散々悩んできたので。もう十分悩んだ後でした。

「ここにいなくていいんだ」という劇的な瞬間があったわけではありません。ただ、「終わりが見えている」「ゴールがある」という静かな感覚が、残りの出勤期間ずっと続いていました。派手な解放感を期待していると、少し違うと感じるかもしれません。でも、その静かな安堵がずっと続いている。それで十分だと思っています。

職場での雰囲気は、気まずかったです。それは正直なところです。でも同時に「ここにいなくていいんだ」という開放感もありました。その両方が同居していました。

言えた後のことを、事前にうまく想像できないのは仕方ないと思います。でもひとつ言えるのは、想像よりずっと普通の日常が続くということです。

まとめ:悩みなく、楽しく働ける日のために

辞めたいのに言えないのは、弱さじゃない。真面目に考えているから、言えない。

3年間言えなかった自分が言えるようになったのは、気持ちが少しずつ固まっていったからです。その時間は無駄じゃなかった。言えないまま過ごした日々の中で、「辞める」という決意が育っていた。

言い出すタイミングは、自分の中に気持ちが準備できたときでいいと思います。

もし今「辞めたい」という気持ちが続いているなら、その感覚を大切にしてください。焦らなくていい。あなたのペースで、あなたが決めていい。

辞めるというのは、勇気がいる。

ただ、大切なのは「辞めることを決意すること」だと思います。決意したら、あとは自然と「辞めます」と言えるようになる。私自身がそうでした。

自分の気持ちを大切にしてください。悩みなく、楽しく働ける日が来ることを願っています。

関連記事 ── 辞めたい・退職

看護師を辞めたい体験談|3年間言えなかった私が病院を変えた話
「辞めたい」気持ちの整理が終わった方の次の読み物。実際に辞めた体験を正直に書いています。

看護師1年目で辞めたいのは甘え?辞める勇気がなかった私の話
1年目で同じように「言えない」状態だった方へ。経験者の目線で書きました。

看護師の人間関係に疲れた|辞めるのは逃げじゃない、15年目で気づいたこと
人間関係のしんどさが辞めたい理由の場合は、こちらも。

ハロのイラスト
§ 03 — WRITER

ハロ看護師15年

ICU 1年 → 精神科身体合併症 12年 → 地域包括ケア

「向いてないなあ」と15年目の今も思いながら、
不器用に、一生懸命、働いています。

“悩みなく、楽しく働いてほしい”

── このブログを書いている一番の願いです。

ハロのイラスト @salaryman_nurse
WRITTEN BY

ハロ看護師15年

ICU 1年 → 精神科身体合併症 12年 → 地域包括ケア

「向いてないなあ」と15年目の今も思いながら、不器用に、一生懸命、働いています。

RELATED

あわせて読みたい