看護師1年目で辞めたいのは甘え?辞める勇気がなかった私の話

看護師1年目で辞めたいのは甘えじゃない。辞める勇気がなかった15年目の看護師が、当時の気持ちと今の考えを正直に書きました。

悩む新人看護師のイメージ
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目次
  1. 看護師1年目で「辞めたい」のは甘えじゃない
  2. 先輩に怒鳴られて、理由もわからなかった
  3. 自分が悪いと思っていたから、相談できなかった
  4. 辞める勇気がなかった。それが正直な理由
  5. それでも、選択肢はある
  6. 信頼できる人に話してみる
  7. 少し休む
  8. 環境を変えるという選択肢もある
  9. あなたの気持ちは、間違いではない

看護師1年目で「辞めたい」と思ったことがあります。

今は15年目になりますが、1年目のあの時期は本当にしんどかった。それだけははっきり覚えています。

「辞めたい」と思う気持ちが甘えなのか、それとも当たり前のことなのか。当時の自分にはわかりませんでした。ただしんどくて、でも誰にも言えなくて、それだけでした。

この記事は、1年目で「辞めたい」と感じているあなたに向けて書いています。解決策を並べる記事ではなく、当時の自分の話を正直に書いた記事です。少しでも、自分だけじゃないと感じてもらえたらと思います。

看護師1年目で「辞めたい」のは甘えじゃない

日本看護協会の調査によると、新卒看護師の離職率は8.8〜10.2%ほどで推移しています。10人に1人が1年以内に辞めている計算です。

この数字を見て「だから辞めても大丈夫」と言いたいわけではありません。ただ、あなたが「辞めたい」と思うことは、それだけ珍しいことでも、特別なことでもないということです。

私が入職したとき、たくさんいた同期も1年以内に大半がいなくなったのを覚えています。

看護師1年目は、学生時代とはまったく違う環境に放り込まれる時期です。覚えることの多さ、先輩との関係、患者さんとの向き合い方。しんどくて当然の条件が、あちこちに揃っています。

私自身、ICU1年目で本気で辞めたいと思っていました。今でも甘えだったとは思っていません。

先輩に怒鳴られて、理由もわからなかった

ICU 1年目のとき、人前で先輩看護師(男性)に首元の襟をつかまれて怒鳴られたことがあります。

怒られた理由は、わかりませんでした。何が悪かったのか、何をしてはいけなかったのか、今もはっきりとは思い出せません。

それでも毎日、出勤するたびに「また怒られるかもしれない」という感覚は続いていました。一生懸命がんばっているのに、「まだあかんのか」という気持ちがありました。何があかんのか、何をしたらできるようになるのか、それもわからない。わからないまま、黙々と勉強するしかなかった。

怒られた理由がわからないまま、次の勤務が来る。また何かをしてしまうかもしれないと思いながら働く。感情がどうこうというより、とにかく乗り切ることだけを考えていた時期でした。

自分が悪いと思っていたから、相談できなかった

誰にも相談しませんでした。正確には、相談と言えるほどのことができませんでした。

同じ看護学校の友達が同じ病院に入っていたので、仕事終わり飲みに行って、よく話したことはあります。ただ、友達も大変そうで。友達の愚痴を聞くことが多くて、自分の話はあまりできなかった。話せそうな相手がいないわけではなかったけれど、受け皿になりきれない状況だった、と今は思います。

なぜ相談できなかったかといえば、「怒られたのは自分が悪いからだ」と思っていたからだと思います。

自分が悪いなら、相談しても仕方ない。相談するという発想自体が、なかったかもしれません。「どうしたらいいか話したい」ではなく、「自分が悪いので次はどうにかしなければ」という考え方しかできていなかった。

今の自分が同じ状況にいる方に言えるとしたら、怒られた理由がわからないとき、「自分が悪い」と思う必要はないということです。でも当時の自分には、それはわからなかった。相談できなかったのは、そういう状況に置かれていたからだと思います。

辞める勇気がなかった。それが正直な理由

1年目を辞めずに続けた理由を正直に言うと、辞める勇気がなかっただけです。

毎日のように怒られて、「自分は何もできない」「自分は仕事ができない」という評価が積み重なっていました。1年目でこんな状況だと、どこの職場に変わっても役に立てない、働けないと思っていました。

看護師にとって「役に立てない」というのは、仕事ができないというだけじゃなくて、患者さんの力になれないということです。その感覚は、思っていた以上につらかった。

ただただ自分は病院にも患者にも邪魔な存在なんだなと。

辞めてほかのところで働ける勇気がなかった。怒られ続けていて仕事ができないという評価を受けていたから、他のところに行っても働けるとは思えない。そういう気持ちが、「辞める」という選択肢を頭の中で現実味のないものにしていました。

悪循環だったと、今ならわかります。でも当時は、そこから出る方法がわからなかったです。

それでも、選択肢はある

辞めたいと思ったとき、どうすればいいか。私が「正解」を持っているわけではありません。でも、選択肢として考えられることはいくつかあります。

信頼できる人に話してみる

相談できなかった自分の話をしておきながら、「相談しましょう」と書くのも矛盾している気がします。

ただ、私の経験からいうと、話そうとすること自体に意味があったと、今は思います。友達も1年目で余裕がなかったから、十分に聞いてもらえなかった。でも「話そうとした」という事実は残りました。職場の先輩でなくても、家族でも、友人でも。「解決してもらおう」と思わなくていい。ただ話すだけで、少し楽になることはあります。

少し休む

限界まで走り続けると、体が先に止まります。「今日は疲れた」という感覚を無視し続けると、ある日急に動けなくなることがあります。

有給を取ること、早く帰ること、1日何もしない日を作ること。そういう小さな「休む」を積み重ねることが、長く続けるためには必要です。

特に【睡眠】は大切です。睡眠不足なだけで些細なことが気になったり、感情の波が大きくなったりコントロールが難しくなります。

環境を変えるという選択肢もある

「辞める」は甘えではありません。今いる場所が自分に合っていないなら、別の場所に移ることは、十分考えていい選択肢です。

向いていないのかもと感じる気持ちも、よくわかります。ただ「向いていない」と「今の職場が合わない」は、必ずしも同じことではありません。看護師という仕事は、働く場所によって大きく変わります。ICUと精神科は、同じ「看護師」でも全然違う仕事です。今の環境が合わないと感じていても、別の場所で違う感覚を持てることもあります。「看護師は向いていない、と15年目の今も思う」という話も、もしよければ読んでみてください。

もし「辞めよう」と決めたときに、職場から引き止めに遭うかもしれません。そのときの対処については、別の記事に書いています。

あなたの気持ちは、間違いではない

1年目の自分に思っていたことは、間違いではなかった。今の自分はそう思っています。それを否定するつもりはありません。

しんどかったのは事実で、怒鳴られたのも事実で、誰にもうまく言えなかったのも事実です。辞める勇気がなかったことも、事実です。それらのどれも、間違いではなかった。

ただ、一つだけ伝えたいことがあります。自分の気持ちを大切にしてほしいということです。

「自分が悪い」「どうせ自分には無理だ」という声に従い続けると、どんどん選択肢が狭くなっていきます。気持ちを大切にするというのは、自分を甘やかすことではなく、自分の感覚を信じることだと思っています。

そして、変わる勇気を持ってほしいとも思います。

「変わる」といっても、転職だけを指しているわけではありません。自分を変える、環境を変える、職場を変える勇気。新しいことに挑戦する勇気。他の人に相談する勇気。勇気をもって今の現状から変わる行動を起こしてほしい、というのが正直な気持ちです。

特に「相談する勇気」は、当時の自分にはなかったものです。1年目の自分は相談できなかった。だからこそ、読者のあなたには、できるならやってほしいと思っています。

1年目の自分に伝えられるとしたら、同じことを言うと思います。あなたの気持ちは、間違いではない。悩みなく、楽しく働いてほしい。


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▶ この記事を書いた人:看護師15年目・ハロのプロフィール
ICU・精神科・地域包括ケア病棟を経験してきた現役看護師です。
ハロのイラスト @salaryman_nurse
WRITTEN BY

ハロ看護師15年

ICU 1年 → 精神科身体合併症 12年 → 地域包括ケア

「向いてないなあ」と15年目の今も思いながら、不器用に、一生懸命、働いています。

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