新人のうちにミスをしたことがある、という看護師はたくさんいると思います。

そして「やってしまった」と気づいた瞬間の感覚は、時間が経っても忘れられないものです。

私にもそういうミスがあります。薬の配役を間違えました。

「やったらあかんことをやってしまった」——自分でそう思いました。

ミスをしたことがある方には、きっとこの感覚がわかると思います。あの重さ。気づいたときの、胃のあたりがずんと落ちる感じ。

この記事は、そのミスとどう向き合ったか、そして同じことを繰り返さないためにどうしたかを、私の体験をもとに書いています。「ミスをしても大丈夫」という話をしたいわけではありません。ミスは軽くない。それを前提に書いています。


「やったらあかんことをやってしまった」

薬の配役を間違えました。

詳しい内容はここには書きません。ただ、「やってしまった」とわかったとき、頭が真っ白になったのは覚えています。

「やったらあかんことをやってしまった」というのが、そのときの正直な言葉です。当時の自分の心境を一言で言うなら、それだけです。後悔とか、焦りとか、いろいろな感情があったはずですが、それらを全部ひっくるめると「やってしまった」という感覚になりました。

患者さんへの影響を確認して、報告して、インシデントレポートを書きました。そのあとの手続きはなんとか動けましたが、自分の中にずっとあの感覚が残っていました。


なぜ間違えたのか

落ち着いてから、自分でなぜ間違えたのかを考えました。

結論は明確でした。手順を守らなかったから間違えた。

どういうことかというと、与薬の確認手順があったにもかかわらず、そのステップを省いてしまっていたのです。忙しかった、焦っていた、という状況がそこにあったのは確かです。でも、それを言い訳にしても結果は変わらない。間違えたのは、手順を飛ばしたからです。

他に理由を探しても、ここに行き着くしかありませんでした。

ミスのあとって、自分を責める方向に気持ちが動きやすいです。私もそういう感覚がなかったわけではありません。ただ、「自分が悪い」で止まっていても次のミスは防げない。「なぜ起きたのか」を特定することが、次に進む一歩だと思いました。


同じことを繰り返さないためにやったこと

対策はシンプルです。手順を守ることを徹底しました。

具体的には、「忙しいときこそ確認手順を飛ばさない」を意識するようにしました。忙しいから省く、ということをやめました。むしろ忙しいときほど、ゆっくり一つひとつ確認するようにしました。

最初のうちは、丁寧に確認することで時間がかかる場面もありました。でも、ミスをして後処理をする時間とどちらが大きいかを考えたら、答えははっきりしていました。

手順を守ることは、教科書に書いてあることです。新人研修でも必ず出てくる内容です。でも、それを「守らなかったから間違えた」と自分の失敗を通じて実感するのは、別のことです。知識として知っていることと、体で理解することは違う。私はミスをして、やっとそれを体で覚えました。


新人看護師のミスが起きやすい場面

新人看護師がミスを起こしやすい場面として、よく挙げられるのは次のような状況です。

  • 与薬・点滴管理:薬の種類・量・患者の確認が多く、手順が抜けやすい
  • 患者確認(フルネームの確認):慣れてくると「たぶんこの人」になりやすい
  • 申し送り・記録の漏れ:業務が重なっているときに後回しになる
  • 緊急対応時の判断:焦りで確認ステップが飛ぶ

これらは特別なことではなく、新人に限らず起きる場面でもあります。ただ、新人はまだ手順が体に入り切っていない段階なので、「わかっているつもり」で動いてしまうことが多い。

「自分だけがミスをしている」と感じている方も、そうではないと思います。ミスが怖くて当然の環境で働いています。

新人看護師のつらさについては、新人看護師がつらいと感じたときにも書いています。あわせて読んでみてください。


ミスをした後にやるべきこと

ミスをした直後、何をすべきかについては、次の順番が基本です。

1. 事実を正確に報告する

まず、起きたことをそのまま報告します。自分に不利なことでも、確認できた範囲で正直に伝えます。「隠したい」という気持ちが出てくることもあるかもしれませんが、報告が遅れると患者さんへの対応も遅れます。事実を正確に、速やかに。

2. なぜ起きたのかを振り返る

インシデントレポートを書く段階で、原因を自分なりに整理します。「忙しかった」で終わらせず、「どの手順を省いたか」「なぜ省んだか」まで分解できるといいです。

私自身、この振り返りを通じて「手順を省いた」という具体的な原因に気づけました。

3. 対策を決めて実行する

原因がわかったら、対策を一つ決めて実行します。大きな改善計画を立てる必要はありません。「次からこうする」という一点を決めて、実際にやってみることが大事です。

気持ちの切り替えや「立ち直り方」よりも、行動が先だと思います。行動が変わると、少しずつ自信が戻ってくる実感があります。

メンタルがしんどい状態が続いているなら、看護師1年目で病む看護師のストレスが限界も参考にしてみてください。


焦らず、ゆっくり、確実に

15年目の今、新人のミスを見るときに思うことがあります。

「焦らずゆっくり確実にやることが大切だよ」と伝えたい。

これは綺麗事ではないし、正論を言いたいわけでもありません。自分がミスをして、手順を省いたから間違えたという経験があるから言えることです。

焦るとミスが増えます。急いで動こうとすると、確認が抜けます。でも、ゆっくり確実にやることで防げるミスは確かにある。私が学んだのは、それだけシンプルなことでした。

看護の仕事をしていると、「早く」「もっと動いて」という圧力を感じる場面があります。特に新人のうちはそれが強いかもしれません。でも、焦りの中で起こしたミスのコストは、ゆっくりやった時間よりずっと大きい。

「焦らずゆっくり確実に」は、15年経った今も私が自分に言い聞かせていることです。

もし今、ミスをしてひどく落ち込んでいるなら、まず報告して、原因を一つ見つけて、次の一つを変えてみてください。全部を一度に直さなくていいです。

1年目で辞めたいという気持ちが出てきているなら、看護師1年目で辞めたいときも読んでみてください。そういう気持ちを持っている看護師がどれだけいるか、参考になると思います。


まとめ

  • 私は新人のころ、薬の配役を間違えました
  • 原因は手順を省いたことでした
  • 対策として、手順を守ることを徹底しました
  • ミスの後は「報告→原因の特定→対策の実行」の順で動くことが基本です
  • 「焦らずゆっくり確実に」は、ミスをした自分が学んだことです

ミスをした自分を責め続けても、次のミスは防げません。起きたことを正確に見て、一つ変える。それだけで十分だと思います。

今の職場がしんどくて、もう限界かもしれないと感じている方は、看護師を辞めたいと思ったときの話も読んでみてください。辞めることを勧めたいわけではありませんが、自分と似た経験をした看護師の話が読めます。

ゆっくりでいいので、一歩ずつ進んでいきましょう。

ABOUT ME
ハロ
看護師歴15年。ICU・外科病棟・精神科身体合併症病棟・地域包括ケア病棟と4科を経験。現在も現役で病棟勤務をしています。 特に精神科身体合併症病棟では12年勤務し、精神疾患を抱えながら身体合併症の治療を要する患者さんと向き合ってきました。看取り、認知症ケア、終末期、急変対応――現場でしか得られないリアルを大切に、自分の体験と感情を正直に書くブログを運営しています。 「正解を教える」のではなく、「同じ目線で一緒に考える」スタンスで、読者の方が少し楽になる文章を目指しています。 【主な発信テーマ】 ・看護師のキャリアと転職 ・精神科看護のリアル ・看護師のメンタルヘルス ・現場で感じた違和感や気づき
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