内科看護

精神機能とは?精神機能の1つ【知覚】について

こんにちは!ハロです!!
私は10年以上、精神科・身体合併症病棟で働く看護師をしています!!
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「患者さんの精神状態が悪いけど、記録になんて書けばいいかわからない」
「精神状態のアセスメントってどうやってするの?」

病棟で働いていると、自分が働く科に関する疾患や治療については勉強しますが、精神的なことを勉強する機会はあまりありません。
しかし今、既往に認知症や精神疾患を患っている患者が増えてきているため、身体状態のアセスメントだけでなく、精神状態のアセスメントも求められています。
そして患者の精神状態をアセスメントする上で『精神機能』の理解が必要不可欠です。

精神機能とは『意識』『思考』『知能』『感情』などの要素が働き、まとめ作用します。
それぞれの要素は一つ一つ独自に働き、相互に関係し合っています。
精神機能の要素を理解すれば、患者の精神状態がどうなっているのかを言語化し、精神状態が悪いのかどうかを判断できるようになります。

今日は精神機能の1つである『知覚』についてお話します。

精神機能について理解すれば、精神症状がある患者の精神で起こっていることが理解できるようになり、どのような看護をすればいいのか考えやすくなります。

精神機能 知覚とは


知覚とは「身体の感覚器官(眼、耳、鼻、舌、皮膚)を通じて外界刺激を感じ取り、意味づけること」です。

例えば、
色のついた二重の円を見て「ドーナツ」「タイヤ」「テスト答案の二重丸」なのか判断します。

知覚とは感覚器官から受け取った対象の情報と自身の記憶や体験とを結びつけて、対象の判断をすることを指します。

簡単にいうと、知覚とは人の五感で感じたことを自覚することです。

この知覚の異常が『知覚障害』になります。

知覚の障害には『感覚変容』と『幻覚』の2種類があります。

感覚変容とは(知覚の『量的』障害)

感覚変容は対象をとらえる感覚はあるものの、その感覚が変化するもので、知覚の量的な障害になります。

例えば、
「いつもなら何も思わない周囲の音が騒音に感じる」
「蛍光灯の明かりがいつも以上にまぶしい」
というようなものです。

例のように、
普段の知覚した情報が強まって感じる状態を『感覚過敏』、
反対に知覚した情報を弱く感じる状態を『感覚鈍麻』といいます。

幻覚とは(知覚の『質的』障害)

幻覚とは実際には知覚していないのに、そうであるように体験してしまう状態をいいます。
幻覚が起こる原因として、脳内のドパミンの過活動が理由であるとされています。

幻覚の種類

幻視 実際にないものをあるように見える
幻嗅 実際に匂わないものに臭いが感じる
幻味 不快な味として感じられることが多い
幻触 実際には触られていないのに触られていると感じる
幻聴 実際には聞こえていないのに音が聞こえるように感じる

精神機能 知覚を観察するときのポイントとは


精神機能の知覚障害でよく現れる症状は『幻覚』です。
患者によっては幻覚を自覚していることもあれば、自覚していない場合があります。
自覚がない場合、患者に幻覚の有無を尋ねても否定されることがあります。
そのような時は患者との会話のテンポが遅かったり、何もない天井を見回したりと患者が挙動不審だったりと患者の言動に現れるていることがあります。
なので、患者の訴えだけでなく、患者の言動から幻覚の有無を判断します。

ただ注意すべきなのは、幻覚だけで問題になることは難しく、多くの場合は幻覚妄想という症状が混ざった状態で現れる場合が多いです。
なので幻覚と妄想(思考の障害)が一致して障害されているのか、そうでないかを判断しないといけません。

例えば、
「借金取りが来る」という幻聴の訴えがあっても、単に聞こえているだけなのか。
それとも、幻聴の内容に対し「追いかけられる」と確信していれば、思考の障害、妄想(追跡妄想)もあるのか、判断がいります。

実際には幻覚と他の精神機能の障害とを区別して判断するのは、大変難しいです。なので、知覚障害があったとしても他の精神機能の評価を同時にしましょう!

精神状態をアセスメントする看護技術としてMSE(メンタルステータスイグザミネーション)という看護技術があります。
MSEは患者の精神状態を把握し、どのような看護を提供するのか導くための看護技術です。
MSEを学ぶなら『他科に誇れる精神科看護の専門技術 メンタルステータスイグザミネーション著:武藤敦志』がオススメです。
本書は患者理解から看護までを導ける技術書であり、精神を学ぶ看護師としては必ず持っておくべき本です。

日々、患者と接していると「患者の様子が昨日と違う」と違和感を感じることがあります。
MSEの技術を身につけると「昨日と比べ患者は体動が激しく焦燥感が強いな。それに、刺激に対して過敏に反応して注意が散漫」というように、患者から感じた違和感を専門用語を用いて言語化できます。

また看護記録を書こうとしても、「これってなんという精神症状なのだろう」「専門用語でどう言い表したらいいのかな」と悩むことがあります。
そんな時、本書には『逆引き用語』集がついており、用語書が役立ちます!!
例えば
「同じ動作をずっと繰り返しているな」と患者の様子から思ったら、本書を調べると『常用行為』という専門用語を見つけられます。
各用語の定義や解説も書き加えられており、とても親切な本になっています。

私も今MSEについて勉強中ですが、患者の精神状態を専門用語を用いてアセスメントできるようなりました。
精神状態をアセスメントするにはMSEの技術はとても便利です。そしてMSEを学ぶには本書以外にオススメできる本がありません!

MSEに興味がある、精神状態をアセスメントできるようになりたいという方は下記リンクをから本書を購入し学びを深めてください。

精神機能についての理解を深めれば、患者の精神状態のアセスメントに自信を持てるようになります。

自分らしい看護師になるためには、自分に自信を持つことが大切です。

これからも『自分らしい看護師』になるために必要な知識や考え方をお伝えします!

最後まで読んで頂きありがとうございます。


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