看護師のやりがいがなくなった|原因は仕事ではなく環境だった
「やりがいがなくなった」と感じはじめたのは、いつ頃からだったか、正確には覚えていません。気がついたら、仕事に行くのが億劫になっていて、病棟に入るたびに気持ちが沈んでいました。
そのとき、自分でも不思議だったのは「看護師の仕事が嫌いになったのかもしれない」と思い始めていたことです。でも本当にそうなのか、確かめることもできないまま、ただ時間が過ぎていく感じでした。
今振り返ると、あのときのやりがいのなさは、仕事への嫌悪感ではありませんでした。もっと別のところに原因があったと思っています。
やりがいがなくなったのは、看護師の仕事が嫌いになったわけじゃなかった
やりがいがなくなっていくとき、自分では「看護師に向いていないんじゃないか」という方向でしか考えられませんでした。
仕事が楽しくない。朝、職場に向かう足が重い。患者さんと接しているときも、以前のような気持ちが湧いてこない。「こんな状態で看護師を続けていていいのか」と、自分を責める気持ちもありました。
でも実際には、看護師の仕事そのものが嫌いになったわけではなかった。それに気づいたのは、ずいぶん後になってからです。
看護師自体が向いていないのかもしれないという不安を感じている方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
やりがいを奪ったのは「師長との関係」だった
当時、師長との関係がうまくいっていませんでした。
自分なりに意見を出しても否定される。何かあると人前で叱られる。朝、布団から起き上がれない日が続いていました。
でも当時は、それがやりがいを奪っている原因だとは気づいていませんでした。「やりがいがない」という感覚はあっても、それがどこから来ているのかが、なかなか整理できなかった。「自分が弱いから」「適応できていないから」という方向に考えが向いていました。
環境が人の感情を変える、という当たり前のことが、渦中にいるときはなかなか見えないものです。
やりがいがなくなったのは、師長との関係が悪くなったから。仕事の中で楽しさを見出せなくなり、そのまま職場に向かうことが苦痛になっていった。それだけの話だったと、今は思っています。
やりがいがなくなる原因は、仕事内容だけではない
やりがいが消えていく理由は、仕事の内容だけではありません。大きく分けると、こういう原因があります。
- 人間関係のこじれ(上司・同僚・チームとの関係)
- 努力や成果が評価されない(やっても手ごたえがない)
- 業務がルーティン化して変化がない(慣れ過ぎて刺激がなくなる)
- 体力的・精神的な限界(疲れが蓄積して感情が動かなくなる)
私の場合は人間関係でした。でも原因は人によって違います。自分の場合はどれに近いか、少し立ち止まって考えてみると、手がかりが見つかるかもしれません。
もし燃え尽きのような感覚が近いと感じる方は、バーンアウトについてまとめた記事も読んでみてください。
転職したら、やりがいが戻った
環境を変えることにしました。師長がいつ異動になるかわからない。つらい状態がいつまで続くかもわからない。そのまま待ち続けるのが嫌になったという気持ちが大きかったと思います。
転職して、やりがいは戻りました。
戻った理由は、患者さんとのやり取りができるようになったからです。
以前の職場では、師長との関係がギクシャクしていたせいか、職場全体が自分には息苦しい場所になっていました。患者さんと関わることにも、どこか余裕がなかった。転職してその空気が変わったとき、患者さんと普通に話せるようになっていました。ただそれだけのことで、やりがいが戻ってきた。
転職のタイミングや判断について悩んでいる方は、こちらの記事も参考にしてください。
戻ったのは「環境が変わったから」であって、自分が変わったからではない
やりがいが戻った理由を正確に言うと、自分の内面が変わったのではありません。やりがいを感じやすい環境に移っただけです。
もし転職していなければ、やりがいはまだ戻っていなかったかもしれない。前の職場にいたままでも、どうにかなっていたかもしれない。それはわかりません。ただ、やりがいを取り戻せた成功談として語るつもりはなく、環境が変わったから変わった、それだけのことだと思っています。
やりがいの正体は「患者との会話を通した関係性」だった
やりがいって何なんだろうと、改めて考えたことがあります。
私にとってのやりがいは、命を救うことでも、技術的な達成感でもありませんでした。患者さんとの会話を通して、少しずつ関係性ができていくときに、じわっと感じるものでした。
患者さんが楽しそうに話をしてくれる。顔を覚えてもらって、毎日挨拶できる。1年以上入院していた患者さんが退院されたとき、「よかったな」と思う。そういう小さな積み重ねが、自分には大事だったんだと思います。
これが「やりがい」と言えるかどうかはわかりません。でも少なくとも、自分の中で仕事を続けていく理由にはなっていました。
やりがいの基準は変わっていい
看護師になりたてのころは、「勉強したい」「経験を積みたい」という理由で職場を選んでいました。だから急性期病棟やICUを選んだ。当時は、それがやりがいだと思っていたし、技術を身につけることに達成感もありました。
今は違います。「いかに自分が楽しく働けるか」が、職場を選ぶ一番の基準になっています。
15年経って、やりがいの基準が変わった。それは成長なのかもしれないし、単純に疲れたからかもしれない。どちらでもいいと思っています。基準が変わることは、おかしくない。
やりがいがなくても続けていた時期がある
正直に言うと、やりがいがない状態で看護師を続けていた時期があります。
続けていた理由は、他の仕事をやる勇気がなかったから。それだけです。今もそういう部分はあります。
「やりがいがないなら辞めるべき」とは思いません。でも「やりがいがないのに続けるなんて」とも思いません。やりがいがなくても続けられるし、やりがいがあっても辞めることもある。どちらが正しいということはないと思っています。
あのときは、やりがいがないまま仕事に行き続けていた。それが自分にとっての現実でした。美化するつもりはないし、それを反省する気持ちもあまりありません。ただ、そういう時期があったということです。
辞めたいと思った時期のことは、別の記事に書いています。やりがいがなくて「続けるべきか、辞めるべきか」と迷っている方は読んでみてください。
「やりがいは環境次第で変わる」という事実
まとめると、こういうことです。
やりがいを奪ったのは、師長との関係という環境の問題でした。転職して環境が変わったら、やりがいが戻ってきた。やりがいの正体は、患者さんとの会話を通した関係性でした。
やりがいは環境次第で変わる。ただそれだけの話でした。
だから、今やりがいを感じられていないとしたら、自分のせいにする前に一度「環境」を疑ってみてほしいと思っています。仕事の内容が嫌いなのか、今の環境が合っていないのか。その違いは、案外大きいです。
環境を変えるかどうかは、自分で決めることです。転職が唯一の答えではないし、転職せずに状況が変わることもある。でも「環境を変えるという選択肢がある」ということは、知っておいてほしいと思います。
もし転職を考え始めているなら、転職サイトをどう使うかの記事も参考になると思います。あくまで選択肢のひとつとして。
やりがいは、ずっと同じ形で続くものじゃないのかもしれません。環境によって消えることもあれば、小さくても確かに感じられる場所に移ったら、また戻ってくることもある。あなたのやりがいは今、どこにありますか。