看護師が心療内科を受診した話|「自分が悪い」と責め続けて眠れなくなった

「自分が悪い」と責め続けて眠れなくなり、心療内科を受診しました。治療や薬の話より、利害関係のない第三者に話を聞いてもらえたことが良かった。受診を迷っている看護師に向けて書いています。

雨の日の昼間、自宅で心療内科の予約を考える男性看護師のアイキャッチ
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目次
  1. 「自分が悪い」と責め続けて、眠れなくなった
  2. 振り返ると、自責には4つの層があった
  3. 心療内科を受診しようと決めた理由
  4. 受診して良かったのは「第三者に話せたこと」
  5. 「行くまでもない」と思っている人へ
  6. よくある質問
  7. Q1. 心療内科の初診ではどんなことをするの?
  8. Q2. 心療内科の受診は職場にバレる?
  9. Q3. 心療内科と精神科、どちらに行けばいい?
  10. Q4. 受診費用はどれくらいかかる?
  11. Q5. 受診を迷っている自分はおかしいの?

「自分が悪い」と思いながら、この記事を開いた方へ。

その言葉、ずっと頭の中で繰り返されていませんか。

私もそうでした。職場でうまくいかないとき、誰かに何かを言われたとき、気がつくといつも「自分が悪い」に行き着いていた。そしてそれが止まらなくなって、眠れなくなって、心療内科を受診しました。

この記事は、その体験をそのまま書いたものです。受診して劇的に変わった話ではありません。ただ、「行ってみてよかった」と思えることがあったので、それを正直に書いておこうと思いました。

「自分が悪い」と責め続けて、眠れなくなった

職場でしんどくなっていたとき、頭の中で止まらないことがありました。

「自分が悪い」という考えです。

誰かに何かを言われたわけでも、大きなミスをしたわけでもない。でも気がつけばいつも、自分を責める方向に思考が向かっていました。職場でうまくいかないことがあると「やっぱり自分のせいだ」という結論に引き戻される感じ。それが一日中続いていました。

最初は「ちょっと疲れているだけ」と思っていました。夜勤明けのしんどさと同じようなもの、少し休めば治まるはず、と。

でも眠れなくなりました。

布団に入っても頭が動き続ける。仕事のことを考えているわけでもなく、ただ「自分が悪い」「なんでこうなるんだろう」という思考の断片が浮かんでは消えていく。眠ろうとするほど目が覚める感覚で、気づけば朝になっている夜が続きました。

「体が先に白旗を上げた」という表現が一番しっくりきます。頭でいくら「大丈夫」と言い聞かせても、体の方がもうついていけないと言い始めていた。

眠れなくなったことが、「一人ではどうにもならないかもしれない」と初めて気づいたきっかけでした。

バーンアウトに似た感覚がある方は、看護師のバーンアウトについて書いた記事も読んでみてください。燃え尽きと自責の重なりは、よく似た場所にあると思っています。

振り返ると、自責には4つの層があった

心療内科を受診してから、少し時間が経ったあとに「あのときどういう状態だったんだろう」と振り返ったことがあります。

「自分が悪い」という気持ちがあることはわかっていました。でも何に対して悪いと思っていたのかを整理したとき、それが一つではなく、重なっていたことに気づきました。

1. その職場で働いている自分が悪い

うまくいかない状況の中に自分がいること自体が、まず「悪い」という感覚でした。「こんな職場でしか働けない自分が悪い」という言い方もできるかもしれません。環境にいる自分を責める層です。

2. 指導を受けている自分が悪い

誰かから指摘されたり、注意を受けたりすると「指導される側にいる自分が悪い」になる。怒られるのは自分に問題があるから、という論理が染みついていました。

3. できない自分が悪い

うまくできないことがあると「能力のない自分が悪い」。ミスをしても、要領が悪くても、すべて自分の能力の問題に帰着する考え方です。

4. その環境を選んだ自分が悪い

最終的にはここに来ます。「こういう職場を選んだのは自分だから、しんどいのは自業自得」という層。逃げ場がない。どこにも責任を転嫁できない。すべてが自分に返ってくる。

4つの層が重なって、どこにも抜け道がない状態になっていました。

誰かを責めているのではないんです。自分だけを、4方向から同時に責め続けていた。「自分が悪い」という一言の中に、これだけの重さが積み重なっていたと気づいたのは、後になってからのことでした。

心療内科を受診しようと決めた理由

受診を決めた理由は、単純です。「考えを止めたかった」からです。

「治したい」とか「楽になりたい」という積極的な気持ちはありませんでした。ただ、この堂々巡りの思考をとにかく止めたかった。眠れなくなって初めて「もう自分一人でどうにかしようとするのは限界かもしれない」と思えた。

受診を迷っていた期間は正直あります。「まだそこまでじゃないかも」「看護師なのに心療内科に行くって」という気持ちもありました。でも、眠れない夜が続いたとき、「これ以上引き延ばしても悪くなるだけだ」と思って、予約を入れました。

ちなみに、心療内科を受診するかどうかの判断としてよく言われるサインがあります。

  • 眠れない、または眠りがとても浅い
  • 出勤前に体調が悪くなる(吐き気・頭痛・お腹の不調など)
  • 食欲がなくなる
  • 好きだったことが楽しめない
  • 涙が突然出てくる

こういった身体のサインが出ているなら、「まだ大丈夫」ではないことが多いです。私の場合は「眠れない」がそのサインでした。

体が出す限界のサインについては、看護師のストレスが限界のときにも詳しく書いています。夜勤による体調の変化が気になる方は看護師の夜勤と体調不良も参考になるかもしれません。

受診して良かったのは「第三者に話せたこと」

受診してみて、一番良かったことを正直に書くと「治療が受けられた」ではありませんでした。

第三者に話を聞いてもらえたこと、これが一番でした。

職場の同僚には相談できませんでした。話がどこに伝わるかわからないから。信頼できる人に話しても、同じ空間にいる人である以上、「どこかに漏れるかもしれない」という怖さは消えなかった。

家族には心配させたくなかった。「仕事がしんどい」と言うだけで、親は不安になる。友達に聞いてもらうことはできても、深い話になればなるほど「これ以上は言えない」という感覚がありました。

心療内科の医師は、「自分と完全に利害関係のない第三者」でした。

秘密が守られる。どこにも話が伝わらない。私のことを何も知らない人が、ただ話を聞いてくれる。そういう場所が必要だったんだと、受診してから気づきました。

「話すと少し楽になる」とはよく言われますが、それは「誰に」話すかによって全然違うと思っています。利害関係がある人には、本当のことは話せない。心療内科は、その「誰に」の問題を解決してくれる場所でした。

受診して全部解決したわけではありません。その後も職場のしんどさが消えたわけでもないし、自責の癖がすっかりなくなったわけでもない。でも「話を聞いてもらえた」という感覚は、当時の自分に必要なものでした。

「行くまでもない」と思っている人へ

この記事を読んでいる方の中に、「行くまでもないかな」と思っている人がいるかもしれません。

私もそう思っていた一人なので、その気持ちはよくわかります。

「もっとひどい人が行く場所だろう」「自分はまだ普通に働けているから」「看護師なのにメンタルの病院に行くなんて」。こういう気持ち、ありませんか。

でも、心療内科は「重症の人が行く場所」じゃないと今は思っています。

治療を受けに行くというより、話を聞いてもらいに行く場所として使ってもいい。「自分の状態を誰かに客観的に見てもらう」という目的で行ってもいい。「行くほどじゃないか」と迷っているなら、その迷い自体が、一人で抱えすぎているサインかもしれません。

「行くべきか」とは言いません。それは自分で決めることだと思っています。ただ、「行く選択肢がある」ことは知っていてほしい。

もし職場の環境自体を変えることも考え始めているなら、看護師を辞めた体験談も読んでみてください。受診して落ち着いたあとで、環境そのものを見直すという順番を選ぶ人もいます。自分が今どういう状態にあるかを知ること、その一歩として心療内科を使うことは、普通の選択だと思っています。


当時の自分に言いたいことがあるとしたら、一つだけです。

自分だけは自分の味方でいてほしい。

誰も守ってくれないとき、自分が一番最後の砦です。自分を責め続けることを、少しだけ休んでほしい。

よくある質問

Q1. 心療内科の初診ではどんなことをするの?

一般的には、問診票に症状や経緯を記入した後、医師と面談します。初回は15〜30分程度で、睡眠の状態や食欲、日常生活への影響などを聞かれることが多いです。詳しい検査をするというより、「今どういう状態にあるか」を話す時間が中心です。

私が受診したとき感じたのは、「話を聞いてもらうことが主目的でもいいんだ」ということでした。何か重大な診断を下されるとか、すぐ薬を処方されるとか、そういうイメージを持っていましたが、初回は主に「あなたの話を聞かせてください」という時間でした。構えすぎなくて大丈夫です。


Q2. 心療内科の受診は職場にバレる?

自分から伝えない限り、医療機関から職場に連絡が行くことはありません。健康保険を使った場合、利用明細に受診した医療機関名が記載されることはありますが、基本的に本人宛に郵送されるものです。

看護師は職場に医療者が多く、「知り合いに会うかもしれない」という不安を持つ方もいます。受診する医療機関を職場や自宅から少し離れた場所にするという選択もあります。バレるリスクはゼロではないけれど、仕組みとして「職場に通知が行く」という経路はないので、その点は安心していいと思います。


Q3. 心療内科と精神科、どちらに行けばいい?

心療内科は、不眠・食欲低下・動悸・頭痛など身体症状を伴う心の不調を主な対象にしています。精神科は、うつ病・統合失調症など精神疾患全般を対象にしています。実際には両方の看板を掲げているクリニックも多く、症状が重なる部分も多いです。

私は精神科で12年間働いていました。その経験から言うと、「まず行ってみるなら心療内科でいい」と思います。精神科は字面のインパクトで敷居を高く感じる人が多いし、心療内科から始めて必要があれば精神科に紹介してもらう流れも自然にあります。どちらが「正しい」というよりは、行きやすいところから行けばいい、と感じています。


Q4. 受診費用はどれくらいかかる?

健康保険が使えます(3割負担の場合)。初診で2,000〜5,000円程度、再診で1,000〜3,000円程度が目安です。薬が処方される場合は別途薬局での支払いが発生します。

もし継続して通う場合、自立支援医療制度(精神通院医療)を利用すると自己負担が1割になります。継続受診が必要になったタイミングで医師に相談すると、制度について教えてもらえます。


Q5. 受診を迷っている自分はおかしいの?

おかしくないです。迷うのは自然なことです。

「まだ大丈夫かもしれない」「行くまでもないかも」と思うのは、多くの人が通る感覚です。私も同じでした。

私が受診を決めたのは「考えを止めたかった」からです。治したいとか楽になりたいとか、そういう積極的な動機ではありませんでした。ただ、眠れなくなって「もう一人ではどうにもならない」と気づいたとき、ようやく動けた。

迷っている間も、体はずっとサインを出しています。「行くまでもない」と思う気持ちと「行った方がいいかな」という気持ちの両方があるなら、後者をもう少し信じていいと思います。自分だけは、自分の味方でいてほしいので。

ハロのイラスト @salaryman_nurse
WRITTEN BY

ハロ看護師15年

ICU 1年 → 精神科身体合併症 12年 → 地域包括ケア

「向いてないなあ」と15年目の今も思いながら、不器用に、一生懸命、働いています。

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